新たな水素の可能性
順天堂大学医学部整形外科学講座が株式会社SUISO JAPANと連携し、水素が神経再生を促進する新たなメカニズムを解明した。この成果は国際学術誌『Molecular Medicine Reports』に発表されており、神経障害や加齢に伴うさまざまな病気の治療における水素の可能性が示された。
研究の背景
加齢に伴い、末梢神経の軸索再生能力が衰えることが知られており、これがしびれや感覚の障害、さらには運動機能の低下を引き起こす。この過程には、転写調節因子であるREST(Repressor Element 1 Silencing Transcription Factor)が関与している。RESTの発現が増加すると神経再生が妨げられることが報告されているが、その具体的なメカニズムは不明であった。
共同研究の成果
今回の共同研究では、加齢マウスや細胞モデルを使用して、水素の神経再生に対する影響を調査した。その結果、以下のような重要な発見があった。
1.
RESTの増加と神経再生能力の低下
加齢によりRESTの発現が増加し、神経再生を示す指標であるGAP43の発現が減少。
2.
水素によるRESTとGAP43の変化
高齢マウスやRESTが過剰に発現する細胞に水素を投与すると、RESTの発現が減少し、GAP43の発現が亢進した。なるべく神経再生能力が改善される可能性が示唆された。
3.
水素がRESTの核内輸送を抑制
RESTは細胞内で核内に輸送され、転写調節因子として機能するが、水素を投与するとその核内への輸送が抑制されることが分かった。これにより、RESTの核内輸送を阻むことで神経再生能力が回復する可能性が明らかとなった。
疾患改善への応用
今回の研究成果は、末梢神経障害、加齢に伴う疾患、さらには神経変性疾患など、さまざまな病気に対する治療法の確立に向けた重要なステップになると期待される。特に、以下の疾患に対する効果が期待されている。
- - 糖尿病性末梢神経障害
- - 手術後や外傷後の神経損傷
- - 加齢によるしびれやロコモティブシンドローム
- - アルツハイマー病やパーキンソン病など
研究者のコメント
順天堂大学医学部整形外科学講座の内藤聖人准教授は、「水素がRESTの核内輸送を制御することで新たな神経再生の促進メカニズムが示された。この成果が末梢神経障害や神経変性疾患の治療に繋がることが期待される」と述べた。
また、株式会社SUISO JAPANの代表取締役である稲石陽は、「この貴重な研究成果により、水素医学の確立へ一歩前進した。今後とも挑戦を続けていきたい」と語った。
研究チーム
この共同研究は、順天堂大学医学部整形外科学講座の内藤聖人准教授と鈴木崇丸先生、そして株式会社SUISO JAPANの代表取締役稲石陽によって行われた。水素吸入装置「Suilive」シリーズを使用し、効果的な研究が進められた。
詳細については、
Suiliveの公式サイトをご覧ください。