米子高専が誇る新しい天体観測技術
鳥取県米子市に位置する米子工業高等専門学校(通称: 米子高専)の科学部は、近年注目の的となる成果を上げています。日本国内の天文台では、天体観測用分光器を持つ施設が約2割に留まっており、この問題を解決すべく、学生たちは自ら新たな装置の開発に挑みました。
天体観測用分光器の開発へ
米子高専の科学部に所属する吉田浩瑛さん、前田孝太朗さん、鐘築昇太郎さんの3名は、教授の指導のもと、誰でも自作しやすい構造の天体観測用分光器を開発しました。市販品は100万円近くすることが多い中、彼らの設計した分光器はわずか25万円で製作可能。さらに、その性能は既存の製品に対して2~3倍の分解能を誇るのです。
この技術は国内の天文学界に新たな可能性を与えるということで、研究成果を2023年12月に東京で行われた高校生・高専生科学技術チャレンジに発表したところ、見事な成績を収め、国際大会に出場する日本代表に選定されました。
国際学生科学技術フェアでの栄光
2024年5月には、ロサンゼルスで開催されたレジェネロン国際学生科学技術フェア(ISEF2024)に参加し、1699名の代表の中から物理学・天文学の分野で優秀賞4等を受賞する栄誉を得ました。この成果は、彼ら自身だけでなく、米子高専、さらには日本の科学教育全体にとっても大きな喜びとなりました。
地元への社会貢献
さらに素晴らしいのは、開発した分光器を地元の公開天文台にも寄贈した点です。鳥取県教育委員会の支援を受けて製作されたこの分光器は、さじアストロパークと米子市児童文化センターに寄贈され、地域の天文教育に寄与することが期待されています。
分光器の設計図や製作プロセスは、今後米子高専のホームページに公開される予定で、全国の天文台研究者への技術普及を目指しています。
米子高専の教育理念と役割
米子高専は、1964年に設立された国立高等教育機関で、令和3年に学科の体系を見直し、総合工学科の形態へと変革しました。このような先進的な取組みにより、未来を担う若者たちが新たな科学技術の分野で活躍できる素地を作り出しています。
まとめ
米子高専科学部の成し遂げた技術革新は、地域社会への積極的な貢献としても注目され、その成果は教育界のみならず天文学界にも新しい風を吹き込むでしょう。今後の展開に期待が高まります。