第29回国際開発研究大来賞の受賞作品発表
一般財団法人国際開発機構(FASID)による第29回国際開発研究大来賞の受賞作品が決定しました。
受賞作品は、牧田東一著の『リベラルな帝国アメリカのソーシャル・パワー:フォード財団と戦後国際開発レジーム形成』です。この作品は、戦後アメリカにおける国際開発の流れと、フォード財団が果たした役割について分析した力作です。
表彰式と記念講演会の開催
受賞を記念して、表彰式および記念講演会「国際開発の始まりと終焉? -アメリカ帝国の始まりと終わり」が2026年1月16日(金)に開催されます。会場は日比谷図書文化館で、ハイブリッド形式で行われるため、現地参加とオンライン参加の両方が可能です。参加は無料で、12月10日(水)から申し込みが開始されます。
受賞作品の内容
牧田氏の著す本書では、フォード財団を中心に、冷戦時代のアメリカがどのようにして国際開発を進め、ソフトパワーを形成していったかが詳細に描かれています。この研究は、特に1950年代から60年代にかけてのインド、ビルマ(現在のミャンマー)、インドネシア、日本におけるアメリカの活動に焦点を当てています。著者は、同財団が所蔵する広範な資料や関連文献を基にして、これらの地域での実情を丹念に調査し、歴史的背景を深く掘り下げています。
選考委員を務めた大野泉氏は、本書の特色として、民間財団を単なる慈善活動の場ではなく、国際的な秩序を支える「ソーシャル・パワー」として位置づけた点を挙げています。この視点により、フォード財団の活動が冷戦時代の国際政治に与えた影響を新たに理解することができると述べています。
大来賞の歴史
国際開発研究大来賞は、1997年に設立され、開発援助を含む国際開発の課題をテーマにした優れた研究図書を顕彰することを目的としています。今回の受賞に際し、FASIDはこれまでのご協力に感謝し、次年度の第30回大来賞に向けた受賞作品の公募も始めています。
FASIDについて
国際開発機構(FASID)は、1990年に設立され、国際開発に関する人材育成や研究、知識の発信を通じて、世界中の人々が平和で豊かな生活を送るために貢献してきました。政府開発援助(ODA)や企業支援、奨学金制度など、多岐にわたる活動を行っています。
今後も、国際開発に関心のある皆様からのご関心と参与を期待しています。