中小製造業の未来を見据えた社名変更が示す新たな挑戦
株式会社エムエス製作所は2026年1月1日に社名を「メイクスタート株式会社(Make Start)」へ変更することを発表しました。この決定の背後には、中小製造業全体が抱える課題や次世代の経営者が直面している問題が影響しています。これにより、同社は新たな一歩を踏み出すことを示しています。
50年の歴史と新たな挑戦
エムエス製作所は1971年に愛知県で創業し、50年の長きにわたって自動車用金型を中心に事業を展開してきました。近年では、医療機器やアウトドア用品、さらにはゴルフブランド『MUQU』の製作など、事業領域を広げることでものづくりの可能性を追求しています。その中で、著名な騎手・武豊氏が使用する鐙を製作した実績もあるなど、さまざまな分野に挑戦してきました。しかし、このような成長の裏には、町工場特有の難しい状況が横たわっています。
顕在化する後継者不足の深刻さ
町工場に必要な技術や文化は、世代を超えて承継されることが必要です。しかし、現在の製造業界は後継者不足や働き手の流出、技術の継承が難しくなっています。このような危機は、全国の中小製造業が直面している社会的問題でもあります。
次世代経営者(後継ぎ世代)は、「何を守り、何を変えるべきか」というジレンマに悩まされています。守りたい文化がある一方で、変化がなければ未来はない。このような葛藤は、エムエス製作所に限らず、多くの中小企業で共通の課題です。
社名変更の意味とその背景
「Make Start」という新しい社名には、未来に向けた強い意志が含まれています。この名には、「一歩踏み出す」「物事を新しく始める」「ゼロからものづくりを生み出す」という想いが込められており、会社のアイデンティティとして「エムエス(MS)」の頭文字も残しています。これによって、過去を大切にしつつも、新しい姿への進化を目指しています。
また、社名変更に伴って明確にした“Purpose(存在意義)”は「創造の歩みをとめず、ひと手間かけて世界の人々と幸せをカタチづくる。」と定義されています。この内容は、単なる社名変更の背景にとどまらず、同社が次の50年に向けた決意を新たに示すものです。
コーポレートマークと理念を具現化
新たなコーポレートマークは、「Make」と「Start」の二つの頭文字「M」と「S」が重なり合い、新しいアイデンティティを表しています。シンメトリーなデザインは、製造の質や揺るぎない信頼感を象徴し、また日本の伝統的な遊びである折り紙の要素を取り入れることで「Made in Japan」をも表現しています。ネイビーブルーのカラーは、信頼性や先進性を感じさせます。
迫田社長の思い
代表取締役の迫田邦裕氏は、社名変更にあたり次のようにコメントしています。「中小製造業は今、大きな変化の中にあります。この変化の中で、変わることもまた継ぐことの一部であるというメッセージを届けたいと考えています。Make Startは、創造的な歩みをとめず、同じ悩みを抱える企業の方々に希望や共感を届けられる存在になりたい。」
このように社名変更は単なる名称の変更にとどまらず、中小製造業全体の未来を見据えた重要な選択であることがわかります。
新しい社名「メイクスタート株式会社」として、エムエス製作所は今後もその歴史を引き継ぎながら、未来に向けての挑戦を続けていくことでしょう。今後の展開に期待が高まります。