海洋保護と持続的発展が交差する新たな取り組み
現在、スールー・スラウェシ海域は、世界的に重要な海洋生態系として注目されています。この海域は、数多くのサンゴ種が生育し、食料安全保障や気候変動への影響を軽減するための重要な役割を担っています。そんな中、地球環境ファシリティ(GEF)からの資金提供を受け、コンサベーション・インターナショナルが主導する新たな地域イニシアチブ「SEACONNECT/シーコネクト」が始動しました。
スールー海域の重要性
スールー・スラウェシ海域は、フィリピンのミンダナオ島、マレーシアのサバ州、インドネシアの北スラウェシ州を含む広大な100万平方キロメートルの地域で構成され、世界のサンゴ種の76%が生息しています。この場所は生物多様性のホットスポットであり、環境保護に取り組む上で非常に重要な意味を持っています。特に日本にとっては、直接的な食材供給地であり、マグロやサンゴ礁魚類が多く捕れる漁場とつながっているため、その保護は切実な課題です。
SEACONNECTの目的
SEACONNECTプロジェクトの目標は、2030年までに以下の成果を達成することです:
1.
海洋生息地管理の改善: 20万ヘクタール(約2千平方キロメートル)の海洋エリアにおいて、管理体制を整えます。
2.
漁業者への支援: 3,000人以上の漁業者や沿岸地域住民に対して、具体的なサポートを提供します。
3.
過剰漁獲の回復: 600トン以上の過剰漁獲された海洋資源の回復を図ります。
4.
「30by30」への貢献: 2030年までに陸地および海の30%の保全を目指します。
出発点となる5つの柱
このプロジェクトは5つの柱をもとに、効果的な結果を生み出すことを目指しています。
- - 海洋資源管理の強化: 気候変動に適応した方法で資源管理を実施し、各国間の協力を進めます。
- - 持続可能な観光・漁業の促進: 環境と共存する経済活動を推進し、地域の持続可能な発展を図ります。
- - 知識共有: コーラルトライアングル諸国間での情報交換を通じて、技術力の向上を目指します。
- - 成功事例の普及: 成果を上げた取り組みを、他の海洋生態系に展開します。
- - ジェンダーに配慮した進捗評価: 包摂性を重視し、透明性のある評価を実施します。
持続可能な未来へ
SEACONNECTは、単なる保全事業ではなく、未来の海洋ガバナンスのモデルです。コンサベーション・インターナショナルは、地域の生物多様性や環境を保護しながら、人々の生活向上も目指しています。海洋の持続可能性が確保されることで、アジア太平洋地域全体の経済安定や食料安全保障が強化されることでしょう。私たちの未来のために、この取り組みは待ったなしの重要な一歩です。 これからも、このプロジェクトを注視し、地域の変革を共に見守っていくことが求められます。