広島商船高専の快挙
2025-10-29 14:53:22

広島商船高専の研究がAIP AdvancesのEditor's Pickに選定!注目の薄膜形成技術とは

広島商船高専が誇る革新技術



広島商船高等専門学校(広島県豊田郡大崎上島町)の酒池耕平准教授と共同研究者である広島大学大学院のJiawen Yu特任助教、東清一郎教授が手がけた研究論文が、米国物理学協会の「AIP Advances」でEditor’s Pickに選出されました。この論文は、超低温プロセスを用いて高品質な二酸化シリコン(SiO₂)薄膜を形成する技術の開発に関わるもので、フレキシブルエレクトロニクスと脱炭素社会の両立に寄与しています。

低温で実現する高品質の薄膜



研究チームは、大気圧プラズマを利用した独自の手法により、65℃未満という非常に低い温度で、約1000℃の熱酸化シリコン薄膜と同等の特性を持つSiO₂薄膜を形成することに成功しました。この業績は、従来の高温プロセスに依存せず、低温での酸化が可能であることを示す新しいメカニズムの存在を実証しています。

本論文では、超低温でも形成される高秩序・高密度な三次元Si–O–Siネットワークについて、その根本原理にフォーカスした分析が行われており、界面駆動型自己組織化(IDSO)モデルが提唱されています。その結果、高温処理で生成されるSiO₂薄膜の品質に匹敵するものを、低温条件下で達成できた理由が明らかになりました。

応用の可能性



この技術により、プラスチックフィルムが変形しない温度域での製造が可能となり、それまで実現できなかった柔軟なデバイス技術への道が開かれます。具体的には、以下のような多岐にわたる分野での応用が期待されています。
  • - 高性能フレキシブル薄膜トランジスタ(TFT)のゲート絶縁膜
  • - フレキシブル集積回路(IC)やLSIの絶縁層
  • - 透明エレクトロニクス用基盤膜
  • - ガスバリア層としての利用

この方法は、真空装置を必要とせず、大気圧下での工程が可能なため、製造プロセスの効率化やコスト削減に寄与します。また、低エネルギーであることから、環境にも優しいエレクトロニクスの基盤として注目されています。

環境への貢献



軽量かつコストが低く、再利用可能なプラスチックフィルムを用いることで、製造エネルギーを大幅に削減しながら、リサイクル性の高い次世代電子デバイスの実現が期待されます。この技術は、電子産業の脱炭素化と持続可能な社会の構築に貢献する可能性があるのです。

開発者の願い



酒池准教授は、「この技術はフレキシブルエレクトロニクスにとどまらず、さまざまな分野との協働による新たな価値の創出に寄与することを目指しています」と話しており、研究が幅広く認知されることを期待しています。

広島商船高等専門学校について



広島商船高等専門学校は、1898年に創立され、時代に応じて進化を遂げてきました。近年はDX人材の育成を目指し、新たに「総合科学科」を設置しました。高等教育機関としての役割を果たしつつ、社会問題の解決に寄与する人材を育成しています。

公式サイト


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会社情報

会社名
独立行政法人国立高等専門学校機構
住所
東京都八王子市東浅川町701-2
電話番号

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