教育改革に寄せる期待と課題
2020年の新しい学習指導要領の公示を契機に、近年の日本における教育改革が進行しています。この変化の象徴とも言える「こども家庭庁」の設立により、子育てや教育を巡る問題はますます注目を浴びることでしょう。しかしながら、1990年代から指摘されている「学力格差」や「子どもの貧困」、さらには「体験格差」といった社会課題は未だ深刻です。このような状況の中、2024年には日本の出生数が初めて70万人を下回ると予測され、教育環境が今まで以上に厳しくなることが懸念されています。
課題に直面する教育界
日本社会は、情報化や国際化、経済不況などの影響を受け、ますます子供たちに厳しい環境を強いています。家庭や学校におけるロールモデルの欠如、生活環境の貧困化、教育に対する価値観の変化は、子どもたちの「生きる力」を育む上で大きな障壁となっています。
こうした状況の中、今最も重要視されているのが「生きる力」の育成です。これからの社会を生き抜いていくためには、単に学力を高めるだけでなく、自己肯定感を持ち、自らの意思で未来を切り開いていく力を育む必要があります。
汐見稔幸氏の新著が示す指針
幼児教育の第一人者である汐見稔幸氏が、3月5日に出版する新しい書籍『子どもの生きる力をのばす5つの体験 答えのない子育てで本当に大事なこと』。この本では、「生きる力」を「非認知能力」と定義し、発想力や社会性、共感力といった能力の育成を目的とした「体験」の重要性を訴えています。著書では、実際に必要な体験の内容や、どのようにその体験を提供するかについても議論がなされます。
この本の特筆すべき点は、体験という概念が単にアクティビティを指すのではなく、子どもたちの感覚や情緒の育成に寄与するものであると述べている点です。大切なのは、各種の体験から得られる内面的な発達が豊かであるかどうかです。
体験のきっかけを提案
汐見氏の本の中では、特に注目すべき点として、全208ページの巻末に収録された体験のきっかけとなる100例が挙げられます。これは、教育と育児の現場で変化し続ける状況において、保護者や教育関係者がどのように子どもたちに「生きる力」を養う場を提供できるのかを具体的に示しています。
汐見氏の考えは、ただ単に個々の家庭や学校の努力に留まらず、社会全体で子どもたちを取り巻く環境を考察することの重要性を認識させます。便利で快適な社会は、時に「文化的貧困」を生み出し、ソーシャルメディアの育成と合わせて体験の質が低下する可能性があるからです。
まとめ
幼児教育の分野においてリーダーとして知られる汐見稔幸氏があらわす新たな育児本は、これからの子どもたちに必要な力や体験、哲学を示しています。子育てにおける“本当に大事なこと”と、未来に向けた指針を提示するこの書籍は、教育関係者はもちろん、すべての親にとって必見の一冊となるでしょう。予約はAmazonや楽天ブックスなどで開始されています。ぜひチェックしてみてください。