免疫グロブリンAの新技術
2025-08-28 14:12:22

ジルコニア粒子を用いた免疫グロブリンAの新技術、医薬品開発に期待

新しい免疫グロブリンAの精製技術



最近、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)において、安価なジルコニア粒子を使用した免疫グロブリンA(IgA)の精製方法が開発され、注目を集めています。この技術は、特に感染症予防に効果が期待されており、医薬品の実用化を促進する可能性があります。

1. 免疫グロブリンA(IgA)とは何か


IgAは、体内の粘膜の表面に大量に存在する免疫タンパク質で、ウイルスや細菌からの感染を防ぐ重要な役割を果たします。IgAは、経鼻投与などの方法で使用できるため、簡便な感染症予防薬としてニーズがあります。しかし、実用化には高純度な精製が必要で、そのためのコストが問題とされていました。

2. ジルコニアを使った新しい精製方法


今回の研究では、無機材料であるジルコニア粒子を用いた新しいIgAの精製技術が導入されました。この方法では、ジルコニア粒子を充填したカラムにIgAを流し込み、pHや塩濃度を調整することでIgAを効率的に回収することができます。これにより、従来の高価な有機材料を使用せずに、コストの大幅な削減が期待されます。

ジルコニアを使ったこの方法は、天然に豊富に存在するため、実用的かつ持続可能なアプローチとされています。また、使用する溶液のpHを弱酸性から中性に保つことで、IgAの構造や機能に悪影響を与えるリスクも抑えられます。

3. 研究成果と社会的背景


本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)などの支援を受けており、詳細は2025年8月27日に「ACS Applied Materials & Interfaces」に発表されました。また、IgAを迅速に効果的に体内に届けることができるため、ワクチンと比較して即効性にも優れています。

感染症対策としては、既存のワクチンが用いられていますが、IgAは病原体の侵入を直接防ぐことができるため、より効果的な選択肢になることが期待されます。今後の科学技術の進展により、IgAの医薬品としての実用化が刺激されることが期待されています。

4. 今後の研究と展望


研究においては、IgAの精製条件のさらなる最適化が目指されています。ジルコニア粒子の表面改質による収率の向上が計画されており、これによりより実用的な精製技術の確立が期待されています。

新しいIgA精製技術が成功することで、将来的には新たな感染症予防の医薬品の開発が加速するかもしれません。感染症のリスクを軽減するこの技術が、医療分野で大きな変革をもたらす日も近いかもしれません。


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