菊池遼の個展
2024-10-28 15:33:44

ニセコで開催される菊池遼の個展が問いかける「存在」と「輪郭」について

菊池遼の個展『存在の輪郭、輪郭の存在』がニセコで開催

北海道・ニセコ町のMEDEL GALLERY SHUで、2024年11月6日から12月1日まで菊池遼の個展「存在の輪郭、輪郭の存在」が開催されます。この個展では、物の「存在」と「輪郭線」をテーマにした作品が発表されます。

菊池遼は普段の生活の中で、目に見えるものがそのまま「存在」とされているという常識に疑問を投げかけています。彼の視点によれば、物は周囲との関連性によって、我々の認識によって「存在」として成立しています。たとえば、コップを思い浮かべる際、そのコップは周りの物体や背景と切り分けられて初めて「コップ」として認識されるのです。これは仏教の「空」という概念にも通じる考え方で、物事が本質的に持つ形を否定し、我々の意識の中に映し出された一つの現象とするところに菊池の独自性が表れています。

個展の中核を成すのが「void」シリーズの絵画作品です。このシリーズは、一見すると形かもしくはイメージとして存在しているものの、近づいて見るとその輪郭が霧散する様子を描いています。菊池はこれにより、物の存在そのものの脆さやはかなさを表現したいと考えています。

菊池はまた、物の「輪郭線」にも注目しています。何かを形として認識する時、その背後には必ず輪郭線が存在し、それは我々の見方や考え方に影響されることはありません。プラトンの「イデア」に似て、「輪郭線」は普遍的な実在として捉えられるのです。この観点から生まれた作品が「parousia」シリーズであり、ぼんやりとしたイメージを虹色で輪郭分けした作品は、目に見えない「輪郭線」を目の前に顕在化させる試みになっています。

チューリッヒで生まれ、東京造形大学大学院を卒業した菊池遼は、様々な独自の視点やテーマを通じて、我々に見えないもの、認識されないものの存在を問い直す挑戦をしています。物そのものが現象であり、「輪郭線」が実在であるという考え方は、現代のアートシーンにおいて重要なメッセージを送っています。観客は、菊池の作品を通じて、物の存在を新たな角度から考察し、自らの認識についても再考を促されることでしょう。

MEDEL GALLERY SHUの背景

ニセコは世界中の富裕層から注目されるリゾート地で、大雪のシーズンには多くの観光客が訪れます。その中で、MEDEL GALLERY SHUは、ニセコのアートシーンに新たな風を吹き込むことを目的に設立されました。このギャラリーは、日本の美術やアーティストの独自性を誇示し、世界に発信する場として機能することを目指しています。日本のアートに対する理解と評価を高めるために、独創的な表現をたたえる意義のある展示を行っています。

菊池遼の作品は、見えるものと見えないものの相互作用を探る旅において、我々を新たな気づきへと導くことでしょう。彼の個展に足を運び、この機会に彼の世界観をじっくりと味わうことをお勧めします。


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