ケイデンスが発表した分子探索ソリューション「ROCS X」
2023年9月25日、米国カリフォルニア州サンノゼに本社を構えるケイデンスが、その事業部門であるCadence Molecular Sciencesから新しい仮想スクリーニングソリューション「ROCS X」を発表しました。この新しい技術は、科学者たちが数兆という膨大な数の薬物様分子を3Dで検索することを可能にします。初めてこの技術が公開されたのは、ボストンで開催されたminiCUP Bostonで、10月には東京と大阪でも発表される予定です。
ROCS Xは、がん治療を中心に研究を進めるバイオテクノロジー企業、Treeline Biosciences社との共同開発によって誕生しました。すでに150以上の新規化合物を発見し、これらはすべて合成可能なものとして評価が行われています。このような新しい法がもたらす可能性は、創薬の世界に革命をもたらすかもしれません。
ROCS Xの技術的背景
ROCS Xは、Cadence® Orion® Molecular Design Platformと、OpenEye OMEGAのコンフォーマー生成技術、さらにROCS(Rapid Overlay of Chemical Structures)をAI技術で統合したものです。このシステムにより、数兆の分子から効率的かつ安価に形状や静電オーバーレイを実現することができます。実際に、分子の3D表現と静電特性を同時に生成することで、従来の手法に比べて、少なくとも3桁のスピード向上を達成しました。
この技術は、従来のFastROCS検索と比較して、97%が同一の分子を特定することができたという検証結果からも、その精度が証明されています。これにより、顧客は従来法に比べ、1,000倍以上の分子を検索することが可能になり、効率的に多様な分子を探索できるようになります。
実用化と今後の展開
ROCS XはすでにEarly accessが利用可能で、一般提供は2026年第1四半期を予定しています。特に、Early accessに興味がある方は、公式な連絡先を通じて問い合わせることが奨励されています。
Treeline Biosciences社のエリック・マナス氏は、「ROCS Xを利用することで、数兆の薬物様分子の検索が可能になり、これは我々が数年前には考えもしなかった成果です。新たに特定された化学物質は、複数の創薬プロジェクトに役立つことでしょう」とコメントしています。このように、ROCS Xは新しい薬剤候補の発見を加速させる大きな可能性を秘めています。
ケイデンスについて
ケイデンスはAIやデジタルツイン技術のリーダーとして、エンジニアリング設計におけるイノベーションを推進しています。多様な市場に対応し、次世代製品開発のためのソリューションを提供することで、業界全体に影響を与える存在となっています。2024年には、Wall Street Journalにおいて最も優れた経営を行う企業トップ100に選ばれるなど、その評価は高まる一方です。
さらに詳しい情報は、公式サイト
Cadenceをご覧ください。