株式会社世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、2023年10月29日に新たな資料「TNFDキーポイント」を発表しました。この資料は、企業が自然に関連する財務情報を開示するためのフレームワークを整理したもので、特に日本企業の開示に向けて重要な4つのポイントがまとめられています。具体的には、TNFDに関連する最終提言が発表されてから約1年が経過し、国内企業がその開示対応に取り組み始めている中で、他社の事例を参考にする際の指針を提供するものとなっています。
企業がTNFDの開示を進めるにあたっては、自社のビジネスと自然との関係を明確にし、生物多様性や自然資本への影響を低減することが求められます。「TNFDキーポイント」は、このプロセスにおいて特に重要な4つの要素を以下のように示しています。
1.
マテリアリティの選択: 開示するべき重要な情報を正しく選定すること。
2.
自然関連課題の特定と評価: 企業のビジネスによって影響を受ける地域や課題を見極めること。
3.
ミティゲーション・ヒエラルキーの適用: ポジティブな影響を強化し、ネガティブな影響を回避することが重要です。
4.
地域社会との関係: 先住民族や地域社会とそのステークホルダーに対する影響を考慮すること。
これらのキーポイントは、企業がステップバイステップで開示の質を向上させるためのガイドラインとなることを期待されています。特にWWFジャパンでは、過去にTNFDの開示を行った企業5社のベンチマーク調査も実施しており、これに基づく開示内容を分析しています。この情報が、さらに多くの企業の開示活動をを促進することを目指しています。
WWFジャパンの金融グループの小池祐輔氏は、「企業の事業活動が自然資本や生物多様性に与える影響を深く理解し、それに基づく持続可能な経営を実現することが求められています」と述べています。社会の変化が激しい今、企業が自然への配慮を忘れず、開示への取り組みを進める重要性は一層増しています。
WWFジャパンは、この「TNFDキーポイント」を通じて、企業が自然資本への依存やインパクトを適切に把握し、持続可能な成長を遂げられるようサポートを行う方針です。今後も、最新の調査結果や情報がWEBサイトで随時公開される予定です。企業が持続可能な事業活動を進めるためには、このようなガイドラインを積極的に利用することが重要となるでしょう。WWFの活動は100カ国以上に拡がり、環境保全の主要団体としての役割を果たしています。公式サイトでも、さまざまな活動内容が紹介されているので、興味のある方はぜひアクセスしてみてください。