2025年4月30日、東京都に本社を置く株式会社IDDKと兵庫県神戸市の菊正宗酒造株式会社は、宇宙環境を活用した日本酒の醸造に関する基本合意書(MoU)を締結しました。この協力関係は、伝統的な日本酒の製造技術と最先端の宇宙バイオ実験プラットフォームの融合を目的としています。IDDKは日本酒の醸造を新たな視点から科学的に探究することを目指しており、菊正宗酒造との協業を通じてさらなる革新を追求しています。
IDDKの宇宙バイオ実験衛星の打ち上げに伴うセミクローズイベントで、両社はMoUの交換を行いました。この取り組みでは、微小重力や宇宙放射線といった特殊な環境下で、醗酵技術や米麹の製作、そして伝統的な微生物の共生環境を探ることが焦点になります。今後、2026年に提供を予定している商業サービスをフル活用し、酵母や麹菌を宇宙で輸送・保管・培養し、発酵の挙動を解明する研究が進められます。
_IDDKの最高科学責任者である池田わたる氏は、「これまでにも宇宙に関連する日本酒づくりは存在しましたが、私たちはその可能性を科学的に探究し、新たな価値を創出することができると期待しています」とコメントしています。菊正宗酒造が持つ360年の伝統と技術を効果的に引き出し、宇宙が日本酒の発酵や熟成に与える影響を理解し、新しい日本酒を生み出せることでしょう。
また、菊正宗酒造の総合研究所所長、高橋俊成氏も次のように述べています。「宇宙での日本酒づくりについての話が持ち上がった際には、実際にどのように行うかイメージが湧かなかったのですが、ディスカッションを重ねるうちに、これが本当に夢のある挑戦だと確信しました。菊正宗の研究所では、日本酒づくりに革新をもたらす新たなアプローチに挑戦しています。」
このように、両社は手探りの状態からでも確實に前進し、宇宙での 日本酒醸造の実現に向けた第一歩を踏み出しました。この連携によって、日本の伝統的な酒造りが新しい未来に進化する道が拓かれることを心待ちにしたいものです。
IDDKは2017年に設立され、光学レンズが不要な半導体センサーベースの顕微観察装置の開発を手がけています。一方、菊正宗酒造も1659年と長い歴史を有し、様々な日本酒や焼酎などを製造している名門です。
今後、両社の取り組みから生まれる新たな日本酒は、多くの人々に新しい体験を提供することでしょう。また、宇宙環境における醗酵過程が、私たちの食文化に与える影響についても注目が集まります。実現が待たれる「宇宙由来の日本酒」は、やがて市場に登場し、新たな価値を提供することになるでしょう。期待が高まるこのプロジェクトが、実際の製品に結びつく日が楽しみです。