がん検査の新展開
2025-06-05 17:17:56

がん種を問わず高感度な検出を可能にする新たな臨床データ

がん種を問わず高感度な検出を可能にする新たな臨床データ



2025年6月2日、ミリアド・ジェネティクスが発表した新しい臨床データは、がん種を問わない高感度の分子的残存病変(MRD)検出における大きな進展を示しています。本データは、日本の国立がん研究センター東病院との共同研究「MONSTAR-SCREEN-3試験」に基づいており、Procedive MRD検査を用いた患者の血中の循環腫瘍DNA(ctDNA)の検出率が全症例で100%に達したことを示しています。このデータは、がんの治療における個別化の道を切り開くものです。

試験の成果


本試験では、最大1,000個の体細胞変異を対象とした全ゲノムシーケンシング(WGS)パネルが97.3%の患者において作成され、極めて低濃度の腫瘍由来DNA(ctDNA)をも検出することが可能であることが実証されました。また、術前化学療法中にctDNAが消失した症例では病理学的完全奏効(pCR)との相関が確認され、再発予測における有用性が評価されています。

SCRUM-MONSTAR-SCREEN-3試験を担当する吉野孝之先生は、ctDNAベースのMRD検出が再発リスクと有意に相関することが過去の研究によって示されているとの意見を寄せています。特に、従来の第1世代のMRDアッセイでは、ctDNAの放出量が少ない腫瘍に対して敏感さが不足していたと指摘しましたが、今回の研究で採用されたPrecise MRDは、がん種に関わらず高感度な検出が可能です。

患者のデータ


橋本直佳先生が発表したデータによると、術後1か月時点でctDNAが陽性とされた検体の60%は、超高感度のctDNAレベルに該当します。この結果は、従来のMRD検査では陽性と報告されなかった可能性があり、ctDNAの高精度な検出が患者の無病生存期間に有意な影響を与えることを示唆しています。

Precise MRD検査の利点


ミリアド・ジェネティクスの最高科学責任者であるDale Muzzey博士は、Precise MRDががん種を問わず患者個々に合わせた治療戦略の最適化に貢献する可能性に言及しました。この検査は、全ゲノムシーケンスに基づいており、数千の腫瘍特異的変異の追跡が可能で、特にctDNAの放出が少ない乳がんや腎がんにおいても高感度を実現しています。

SCRUM-MONSTAR-SCREEN-3試験概要


SCRUM-MONSTAR-SCREEN-3試験では、約1,200人の患者を対象に、20種類以上のがん種にわたるMRDモニタリングを行っています。この試験は、ctDNAの放出が少ないがんを含めた多様ながん種へのMRD検査の適用可能性を示すための高品質かつ前向きな臨床エビデンスを創出することを目的としています。ctDNAのレベルは、診断時から術前治療後、手術後、さらにはその後の2年以上にわたって定期的に評価されます。

ミリアド・ジェネティクスの貢献


ミリアド・ジェネティクスのPrecise MRD検査は、腫瘍情報に基づいてがん患者の血中ctDNAをモニタリングし、極めて高感度に検出する画期的な技術です。この技術は、がん患者の臨床経過におけるモニタリングを支援し、医療従事者が最適な治療を提供するための基盤を築いています。企業として、ミリアドはがん治療における遺伝子検査の先駆者として、治療法の改良に貢献していく考えです。


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会社情報

会社名
ミリアド・ジェネティクス合同会社
住所
東京都新宿区西新宿2-1-1新宿三井ビル55階
電話番号
03-4520-7080

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