日本の旅行者がAIの提案に抱く疑念
2025年12月16日、東京発。データ統合とAIのリーダーであるQlikは、旅行業界におけるAI活用に関する調査結果を発表しました。この調査には日本やアジア太平洋地域の他の国が含まれており、特に日本の旅行者がどうAIを受け入れているかが焦点となっています。
日本の旅行者の個人データの抵抗感
調査によると、日本の旅行者の34%が旅行プラットフォームに個人情報を提供することに抵抗を感じていると回答しています。この数字は、アジア太平洋地域の平均22%を大きく上回り、最も高い抵抗感を示しました。また、日本人が特に共有を躊躇する情報の種類は以下の通りです:
- - 旅行先や希望するアクティビティのリスト:68%
- - 健康状態及び予防接種状況:83%
- - 旅行の予算や支出計画:62%
日本の旅行者は、個人情報に関して特に慎重であることが明らかになりました。この傾向は、特に旅行計画においてAIへの信頼の欠如にも関連しています。
AIによるプレミアム体験への期待
一方で、AIの活用が「無料または割引の特典を得られる」という明確な利点と結びつく場合、32%の日本旅行者が魅力を感じていることが判明しました。アジア太平洋地域の平均24%よりも高い数字です。これは、プライバシーへの懸念が軽減されるなら、彼らがAIの提案を積極的に利用する可能性を示唆しています。たとえば、エコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレードなどがその一例です。
AI利用における信頼性の課題
しかし、調査によると、旅行者がAIからのパーソナライズされた情報を得るために個人情報を提供する意向があると答えたのは僅か17%に過ぎず、再びアジア太平洋地域での平均26%と比べても低い数字です。この結果は、日本人旅行者にとってAIによる提案についての信頼性が大きな壁となっていることを示しています。
信頼性の低さは個人情報の提供を躊躇させ、旅行者がAIの恩恵を受ける機会を減少させています。特に「AIの提案をまったく信頼していない」という回答が24%で最も高い結果となり、他国の平均19%を上回りました。
旅行業界の今後
今井浩氏、クリックテック・ジャパンの執行役員社長は「AIの活用は世界中で加速しているが、日本でも同様のアプローチが求められる」と述べており、旅行業界におけるAIの導入には、旅行者のニーズを理解し、信頼を築くことが不要不可欠であると明言しました。
AIがどのように日本人旅行者の期待に応えるか、またそれに伴う個人情報の取り扱いについての態度が、今後の旅行業界の発展において重要な要因となるでしょう。信頼性向上に向けた施策が、旅行者の利用促進につながることが期待されます。
調査について
この調査は、2025年8月25日から28日にかけてYouGovにより実施され、4か国の成人を対象にしたオンライン調査です。調査は各国で年齢、性別、地域のバランスが保たれるように設計されました。
Qlikに関する情報
Qlikは、データ分析とAI技術の提供を通じてビジネス成果を最大化することを目指しています。彼らはAIのデータ基盤に重点を置いており、旅行業界のパーソナライズの必要性に応えようとしています。今後の業界の動向に注目です。