舩坂酒造店の中国進出、ECモールとライブコマース利用で新たな市場を開拓

舩坂酒造店が中国市場に進出

日本の伝統的な酒造りを営む舩坂酒造店が、中国の大手ECモール「Tmall」にて自社ブランドの旗艦店を立ち上げました。これは、同社にとって初めての中国市場への進出であり、特に近年急成長を遂げているライブコマースプラットフォーム「抖音（TikTok）」でも販売を開始しました。これにより、訪日中国人観光客に向けて自社商品を的確に提供する体制が整いました。

舩坂酒造店は、岐阜県高山市にある酒蔵で、江戸末期から約300年の間にわたり、丁寧に日本酒を造り続けています。観光地としても人気の飛騨高山に位置し、地元の美味しい食材と共に日本酒を楽しめる直売店舗を持ち、観光客に直接日本酒の楽しさを伝える場を提供しています。

中国進出の狙い

舩坂酒造店のECモールおよびライブコマースへの進出は、海外のインバウンド需要を見越した戦略の一環です。毎年多くの海外観光客が訪れる高山ですが、中国人観光客は帰国後にも自社製品を手に入れる機会を増やすことで、日本の酒文化を広めようとしています。これにより、訪日中国人が自国でも舩坂酒造店の日本酒を購入することが可能となり、ブランドの認知度を高める狙いもあります。

さらに、舩坂酒造は現在、岐阜県初のウイスキー専門蒸留所「飛騨高山蒸溜所」の建設にも取り組んでおり、2023年4月の稼働を計画しています。この新しい蒸留所では、日本酒で培った発酵技術を活かしたウイスキー製造が行われ、今後の中国市場へのウイスキー展開も視野に入れています。このように、日本酒とウイスキーという対極のアルコールを基にした事業展開が、地域の未来と日本のアルコール業界の成長につながることが期待されています。

オープンゲートの支援

舩坂酒造店の中国進出を支援する株式会社オープンゲートは、これまでにも多くの蔵元の海外進出をサポートしてきました。特に中国市場においては、日本酒の輸出が急激に拡大しており、2021年には1兆円以上の実績があるといいます。競争が激しくなる中で、蔵元が単独で市場を開拓することは非常に難しい状況です。

このため、オープンゲートは情報やノウハウを駆使し、蔵元の海外進出を支援する役割を担っています。最近では、SBIトレーサビリティ社との提携により、ブロックチェーン技術を利用したトレーサビリティシステム「SHIMENAWA for SAKE」を導入し、デジタルデータによって日本酒の付加価値を高めるサービスを展開しています。これにより、より多くの人々に日本産酒類の魅力を伝える手助けを行うことが可能となります。

商品ラインナップ

今回、中国市場で展開される商品には、舩坂酒造店のプライベートブランド「深山菊」や、人気のある「大吟醸四ッ星」などがラインナップされています。また、今後は商品の種類も増やしていく予定です。これによって、より多くの中国の消費者に自社の日本酒を楽しんでもらう機会を提供し、新たなビジネスチャンスを創出することを目指しています。

舩坂酒造店は、今後も日本産の酒類や食品の海外進出を手がけるメーカーや事業者のサポートに尽力し、日本の酒文化の魅力を世界に伝え続ける姿勢を試みています。これからの展開に期待が寄せられています。