マイナビコメディカルが発表したPT・OT・ST白書2024
株式会社マイナビが運営する『マイナビコメディカル』は、2024年度版の「PT・OT・ST白書」を発表しました。この白書では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)を対象にした調査結果が紹介されており、彼らの勤務環境や課題についての理解を深める内容となっています。
年収の実情
調査の結果、PT・OT・STとして働く正職員の中で最も多い年収帯は「400~424万円」であり、民間給与平均の530万円と比較すると、100万円以上低い結果が出ています。各年代別に見ると、20代では「300~324万円」が多く、40代では「500万円以上」を超えるケースもありますが、全体としては低い水準に留まっています。この結果は、医療業界における給与の問題を浮き彫りにしています。
仕事のやりがい
一方で、同じ調査によると、77.1%のPT・OT・STが現在の仕事にやりがいを感じていると回答しています。特に、「患者の感謝の言葉」を挙げる人が69%と多く、身体機能の向上を実感した際にやりがいを感じる方が55.3%という結果は、彼らの職業が持つ貢献度の高さを示しています。
転職への考慮
興味深いことに、約6割のPT・OT・STは今後、PT・OT・ST以外への転身を考慮していることが明らかになりました。65.0%が「給料や待遇の充実」を第一に求めており、職場環境の改善を強く望んでいることが伺えます。この結果は、医療業界全体における働き方の変化を促す要因となるでしょう。
労働時間と賃金
また、時間外労働に関する調査では、81%が月平均で残業を行っていると回答し、そのうち未払いの残業時間が73.9%に及ぶことが分かりました。この結果は、医療従事者の働き方に対し、サービス残業が常態化しているという厳しい現実を示しています。
労働環境の改善が急務
調査担当者は、PT・OT・STの労働環境の改善が急務であると指摘しています。特に、給与の向上や、社員同士の良好な人間関係が職場でのやりがいや満足度に大きく影響しているため、これらの要素が整わない限り、医療従事者の離職問題は解決しづらいと考えられます。また、働きやすい環境を整えることが、医療の質の向上にも寄与することは間違いないでしょう。
まとめ
マイナビコメディカルが発表した「PT・OT・ST白書2024」は、医療従事者が直面する現実を可視化し、今後の政策や業界内での対策を考える上での重要な資料となります。医療現場の労働環境改善に向けて、企業や関係機関が一丸となって取り組むべき時が今、確実に迫っています。