オンセミが発表したSiCベースの新たなインテリジェントパワーモジュール
米国アリゾナ州スコッツデールに本社を構えるオンセミ(onsemi)は、持続可能な未来のためにエネルギー効率とコスト削減を実現する新しい1200Vシリコンカーバイド(SiC)ベースのインテリジェントパワーモジュール、EliteSiC SPM31 IPMを発表しました。この最新モジュールは、最小のサイズで最高のエネルギー効率を誇るもので、通常の技術と比較して低い総システムコストをも実現しています。
最新技術の利点
EliteSiC SPM31 IPMは、特に三相インバータードライブシステム、AIデータセンターの冷却ファン、業務用HVACシステム、ロボティクス、可変周波数ドライブ(VFD)、さらには産業用ポンプに至るまで、幅広いアプリケーションに最適です。これにより、熱性能の向上や電力損失の低減、高速スイッチングなどの特性が得られ、オンセミの技術力が光ります。
特に注目すべきは、EliteSiC SPM31 IPMが提供する40Aから70Aまでのさまざまな電流定格です。この製品は、15Aから35Aの低電流をカバーする既存のIGBTポートフォリオと相補的な関係にあり、業界でも屈指の広範囲で柔軟な統合パワーモジュールソリューションを提供します。
エネルギー消費を減少させる必要性
2033年には、アメリカにおける住宅および商業ビルの運営が27.6%の最終エネルギー消費を占めています。AIの重要性が増す中、エネルギー需要は増加しており、特にAIデータセンターの拡大が目立ちます。ここで求められるのは、電気エネルギーを効率的に変換するパワー半導体の利用です。これらは、低炭素社会への移行において極めて重要な役割を果たします。
ECファンにおける信頼性と効率
データセンターの数が増え、規模も拡大する中で、ECファンの需要が高まることが期待されています。これらのファンは、データセンター内での設備の快適な運用を支えるために不可欠であり、その動作効率と信頼性が求められます。EliteSiC SPM31 IPMの導入により、これらECファンはより高い信頼性と効率を持って稼働することが可能です。
ECファンと同じく、コンプレッサーやポンプなどの他のさまざまな産業アプリケーションも、高い電力密度と効率を必要とします。EliteSiC SPM31 IPMに切り替えることで、サイズの縮小や性能向上、さらには設計の簡素化が実現し、温室効果ガスの低減にも寄与します。これにより、開発期間の短縮や総システムコストの削減が期待されるのです。
例えば、現在のIGBTパワー統合モジュールを用いた場合、70%の負荷で500Wの電力損失が発生しますが、EliteSiC SPM31 IPMを使用することで、ECファン1台あたりの年間エネルギー消費とコストを52%も削減することができるのです。
製品の構造と機能
EliteSiC SPM31 IPMは、独立したハイサイドゲートドライバー、低電圧集積回路(LVIC)、6つのEliteSiC MOSFET、温度センサー(VTSあるいはサーミスター)で構成されています。このモジュールは、ダイサイズの縮小を実現し、短絡性能も向上させる最先端のM3 SiC技術を基にしています。これにより、インバーターモータードライブにおいて最適なパフォーマンスが発揮されます。
また、MOSFETの設計により、柔軟な制御アルゴリズムの選択が可能となり、多様な運用ニーズにも対応できるよう考慮されています。
EliteSiC SPM31 IPMの利点
1.
低損失のM3 EliteSiC MOSFETによる機器故障リスクの低減
2.
低電圧保護(UVP)を内蔵しデバイスの損傷を防ぐ
3. FS7 IGBT SPM31製品との互換性により、新たな電流定格の選択が可能
4.
UL認証取得済みで、安全基準を満たす
5.
単一接地電源により優れた安全性とノイズ低減
6. 内蔵の制御回路によりボード設計の簡素化
7. 高速な集積回路を内蔵
新技術の導入により、エネルギー効率を高めつつ、コストを低減することはビジネスの競争力を強化する上で欠かせないポイントです。オンセミが発表したEliteSiC SPM31 IPMは、今後の市場においてその技術的な優位性を証明するもしお審査が期待されています。