ユニセフ事務局長、教皇と会談
2025年10月6日、ローマにおいて、ユニセフ(国連児童基金)の事務局長キャサリン・ラッセル氏が教皇レオ14世との会談を行い、特に紛争や貧困、対外援助削減の影響を受ける子どもたちの現状について意見を交わしました。会談は、国際社会が子どもたちのために行動する必要性を訴える場となりました。
子どもたちの厳しい状況
ラッセル事務局長は、「今日、子どもたちはかつてないほどつらい状況に置かれている」と述べ、特に紛争地域での子どもたちの苦しみを強調しました。彼女は、ガザ、コンゴ民主共和国、ハイチ、スーダン、ウクライナ、イエメンなどの地域で生活する子どもたちは何百万人にも及び、また、10億人以上の子どもたちが気候変動の影響を受ける地域に住んでいることを指摘しました。
この状況の悪化に加えて、世界的な対外援助資金の削減が教育や健康、保護に対するサービスの機会を奪っているとラッセル氏は警告しています。「私たちは、子どもたちの命を守り、生活を良くする方法を知っています」と彼女は力強く語り、各国が協力して子どもの権利を尊重する必要があると訴えました。
教皇の役割
教皇レオ14世は、子どもたちが教育を受けられる環境作りに向けての努力や、深刻な債務危機に対する対応についてラッセル氏に感謝されました。彼女は「多くの国が借入金の利息支払いに資金を費やし、子どもたちへの投資が後回しになっている」と述べ、これが教育や健康への支出を圧迫している現実に対する懸念を表明しました。
子どもたちの未来を守るために
ラッセル事務局長は、すべての子どもが快適な環境で育つ権利があるべきだとし、「子ども時代は本来、成長と学びの時期であるべき」と主張しました。しかし、現在、多くの子どもたちが戦争や気象災害の中、日々の生き残りに苦しんでいることを憂慮しています。
また、気候変動によって頻発する干ばつや洪水が、食料や水の供給に深刻な影響を与え、学校や医療機関を壊滅に追い込む危険性も増していると警告しました。彼女は、「私たちは、子どもたちを守るために行動を起こす時が来た」と力強く語り、国際的な協力が必要だと訴えました。
事務局長のバチカン訪問
ラッセル事務局長にとって、今回の訪問は2度目のものであり、昨年は教皇フランシスコとの会談を行い、子どもの権利と尊厳を広めるイベントに参加しました。このような関係性を通じて、ユニセフは引き続き世界中の子どもたちのために活動を続けていく意向を示しています。
未来への期待
医学誌「ランセット」によると、2025年以降、対外援助の削減により、おそらく450万人の5歳未満の子どもたちが命を落とすことが予測されています。このような危機的な状況を乗り越えるために、国際社会が一丸となり、子どもたちの未来を守るための具体的な行動を起こすことが重要です。
「私たちは、すべての子どもの権利が守られるように働きかけ、より健やかで安定した世界を作るために、今こそ行動を起こさなければなりません」とラッセル事務局長は結論付けました。