就職活動におけるメンタルヘルスの現状
株式会社ABABAは、2026年3月卒業の大学4年生と修士2年生200名を対象に、就活うつに関する調査を実施しました。調査は2025年10月22日から11月25日にかけて行われました。以下、調査結果の概要を紹介します。
調査結果の概要
1. 就活うつの自覚
事前調査によると、就活うつを自覚した学生が54.3%に上りました。昨年よりも8ポイント増加しており、就職活動がもたらす心理的負担が一層深刻化していることが判明しました。
2. 自殺念慮が半数以上
調査の結果、就活中に「死にたい」と感じた経験があると答えた学生は56.5%に達しました。これは、就職活動による多様なストレス要因が影響していると考えられます。
3. うつ症状の実態
学生の中で、「やる気が起きない」と感じる割合は56.0%で最も多く、他にも「食欲の変化」や「涙が出る」といった様々な症状が報告されました。精神的な問題は、身体的な影響とも関連していることが明らかになりました。
4. 自己否定感の蔓延
約4割の学生が「自分だけがダメ」と感じ、周囲と比較しながら自己否定に陥っています。「みんなが頑張っている」と我慢を強いられる社会的なプレッシャーが大きいと言えます。
5. 行動への影響
就活うつにより、約32.5%の学生が選考をキャンセルしたり、親しい人との関係が希薄になるなど、実際の行動にも顕著な影響を受けています。
6. 相談方法の多様化
対処法として、身近な人に相談を行ったのは32.5%が挙げられましたが、AIチャットへの相談も24.5%と、新しい手段が用いられています。一方で、何もせず孤立する学生も25.0%存在し、支援が必要な学生が多い状況が浮き彫りになっています。
7. 就活の長期化
「就活の期間が長すぎて先が見えない」との声が40.0%を占め、長期化する就活が精神的な疲労を生む要因であることが示唆されました。これにより、精神的な負担が増大し、自分の選択に対する迷いや不安が募るのです。
8. 内定後の継続的な不安
内定を得ても、50.5%の学生が就活うつの影響を感じており、不安感が継続している実態が確認されました。「本当にこの企業で良いのか」という不安が主な要因です。
9. 就活中のエピソード
自由回答では、周囲の友人が内定を獲得する中、自分だけが取り残される恐怖を抱いた学生が多いことが明らかになりました。さらに、圧迫面接が引き起こしたパニック障害に悩まされるケースも報告されています。
まとめ
この調査から、就活うつを自覚する学生が増加していることが分かりました。特に内定後も不安を抱える学生が多く、選考に対するストレスから決断へのストレスへと、苦しみの質が変化しながら持続していることが明らかになりました。就活の長期化や他者との比較、社会的なプレッシャーが学生を追い詰める構造的な問題も根深いものがあります。
ABABA総研は、就職活動生のメンタルヘルスの向上に向けた支援を行う必要性を再認識させられる結果となりました。企業や大学は、心理的な負担を軽減する環境づくりに取り組むことが求められています。