広島の児玉ゴム商会が挑むアップサイクル革命
広島で64年の歴史を誇るゴム加工会社、児玉ゴム商会が新たな試みに挑戦します。その名も「LIFE CYCLE MARKET ~余白のちから:アップサイクルで守る命と地球~」。2025年9月6日、7日に無印良品 広島アルパークにて開催されるこのイベントは、端材を有効活用することで平和と持続可能な未来を考えることを目的としています。目標金額100万円のクラウドファンディングが開始され、地域の皆様の支援を期待しています。
端材の価値を再発見する
児玉ゴム商会の専務取締役、児玉健氏が会社に加わった際、彼は工場から年間20トン以上の端材が発生していることに気づきました。捨てられがちなこれらの素材に対し、「本当に価値がないのだろうか?」との疑問が生まれ、仲間たちと共にアップサイクルプロジェクトを発足させました。彼らは端材に新たな価値を与えることを目指し、2014年からさまざまな取り組みを進めています。
被爆という歴史から学ぶ
プロジェクトの重要な出発点は、広島の被爆後の歴史にあります。児玉氏は、紙にコールタールを塗って作られた防水紙が、被爆後の広島での人々の生活を支えたことに着目しました。この歴史と端材の価値を結びつけることで、現代における創造性や持続可能性の重要性を伝えようとしています。当時、瓦礫でバラックを作った人々の知恵にも、現代社会が学ぶべき教訓があるといいます。
アップサイクルの認知度向上
2021年に株式会社オレンジページが行った調査では、アップサイクルの認知度は30.9%であるものの、その意味を知る人はわずか7.5%とされています。児玉氏はこの現状を憂慮し、「広島出身の人で、被爆とアップサイクルを結びつけて考える人はほとんどいない」と語ります。アップサイクルの視点から被爆の記憶を見つめ直すことが、命を守る技術や持続可能性を学ぶ機会になると期待しています。
LIFE CYCLE MARKETの企画
「LIFE CYCLE MARKET」では、以下の4つの企画を通じてアップサイクルの価値を伝えます。
1.
パネル展示:被爆とアップサイクルの事例や資源循環経済の重要性を紹介。
2.
端材・アップサイクル製品の展示販売:広島サンダーズの使用済みバレーボールを使用した製品など、イベント限定のアイテムも登場します。
3.
ワークショップ:無印良品の使用済みバナーを使ったコインケース作りの体験や、中小学生向けのデザイン思考教室を行います。
4.
ライブペイント:広島出身のアーティストが参加者と共に平和と持続可能性を描くアートイベント。
産業廃棄物問題と持続可能な未来
現在、全産業廃棄物の約45%が焼却処分されており、リサイクルが進んでいない深刻な現状があります。国や企業が持続可能な社会を目指す中、児玉ゴム商会の取り組みは時代の要求にも合致しています。
異色の経歴を持つ児玉氏
児玉氏はもともとバイオの世界でキャリアを築いていましたが、2021年に家業に参画。彼はゴムの魅力に気づき、異分野での経験を活かした新しいモノづくりに挑戦しています。将来的には地域の教育機関とも連携したアップサイクル教育の普及や、他の町工場とのネットワーク構築を目指しています。
最後に
「このプロジェクトは、過去の教訓を未来へとつなげる架け橋です。限られた資源を有効に活かし、持続可能な社会を築くために、私たちはものづくりの現場から声を上げていきます」と語る児玉氏の想いが詰まったイベントにぜひ足を運んでみてください。詳細は公式サイトやクラウドファンディングで確認できます。