伊丹市が進める持続可能な航空燃料プランと地域連携の新たな一歩
兵庫県の伊丹市が、持続可能な航空燃料(SAF)資源化に向けて新たな協定を締結しました。この協定には、日揮ホールディングス、レボインターナショナル、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYと共同で取り組むことが含まれています。2025年6月24日に伊丹市役所において行われた協定締結式では、これまでの廃食用油の取り組みに新たな価値を付加し、地域の持続可能な発展を目指す姿勢が示されました。
協定の目的と背景
この協定の主な目的は、家庭や店舗で発生する廃食用油を有効活用し、SAFの原料として資源化を進めることです。伊丹市では、すでに公共施設での廃食用油の回収を実施しており、約29,000リットルの廃食用油がSAF製造に向けて供給される見込みです。この取り組みを通じて、地域の資源循環を促進し、同時に市民が脱炭素社会に貢献できる実感を得られることを目指しています。
FLY TO FLY PROJECTへの参加
伊丹市は、「Fry to Fly Project」にも参加し、廃食用油を原料とするSAFを利用した航空機の運航を実現するプロジェクトに貢献します。このプロジェクトは、家庭から店舗までの廃油を収集し、日本国内における持続可能な資源循環を推進するものです。日揮HDの発起により設立されたこのプロジェクトには、多くの企業や自治体が参画し、脱炭素化の取り組みを一緒に進めています。
協定内容と取り組みの具体例
協定の具体的な取り組みとしては、以下のような内容が記載されています:
1.
廃食用油の回収:市内11か所の公共施設で回収を実施。
2.
廃食用油の運搬:レボインターナショナルがこの油を収集し、SAFFAIRE SKY ENERGYのプラントに運ぶ。
3.
SAF製造の仕組み:廃食用油をSAFとして再資源化するための仕組みの構築。
4.
環境学習の推進:市民への教育や情報発信を実施。
これにより、伊丹市は持続可能な循環型社会の形成をサポートし、市民参画の重要なプラットフォームともなります。毎年11月に開催される環境イベントでは、廃食用油がSAFになる工程を市民に体験してもらい、より深い理解を促進します。
SAFについて
SAFとは、バイオ燃料を基にした持続可能な航空燃料であり、廃食用油やバイオマスを原料として製造されます。これにより、CO2排出を約84%削減する効果が期待されています。伊丹市の取り組みは、この未来志向の燃料の供給と普及を目指すものであり、地域活性化にも寄与することでしょう。
今後の展望
日揮HD、レボインターナショナル、コスモ石油は、この協定に基づいて国内初のSAF大規模生産事業を進める計画です。2024年12月には新しいプラントが完成し、2025年4月からの燃料供給を目指しています。伊丹市の協力を得ることで、持続可能な航空産業の実現に向けて着実に歩みを進めています。将来的には、持続可能な航空燃料の導入が広がり、地域社会の成長につながることが期待されています。