岡山理科大学が土砂災害における迅速対応を実現
2023年9月24日、岡山理科大学生物地球学部の佐藤丈晴教授が発表した新技術が、土砂災害発生時の対応を大幅に改善します。この技術は、災害発生直後に流出土砂量を迅速に算出するもので、従来の手法に比べて時間を大幅に短縮します。特許も出願されています。
新技術の概要
この新手法は、航空レーザ計測によって得られるDigital Surface Model(DSM)を活用したもので、土砂移動域の特定が可能です。従来の方法では、災害前後の土砂の動きを確認する際に、樹木や周囲の環境の影響を受けるため、技術者による目視判読が必須でした。これに対して新技術では、AIを利用して、災害前のデータと災害後のデータを比較し、樹木を排除して土砂移動部分を見つけ出します。
効率的な算定手法
新技術を用いることで、例えば40平方キロメートルの被災範囲において、従来の手法では5人の技術者が12日かかっていた作業が、なんとたったの1日で完了するとのことです。これにより人件費や復旧作業開始までの時間も大幅に削減できます。
過去の災害データをもとにした実証
記者会見では、熊本地震や西日本豪雨など、過去の大規模災害を対象にした土砂量算定の実績も紹介されました。これらのデータを基に、新手法で土砂量を計測すると、従来の目視判読による手法と比べて80~90%という高い正解率を記録しています。
AIのさらなる活用
佐藤教授は、「今後はさらなる精度向上のために、AIに多くの土砂災害データを学習させていきたい」と意気込みを語り、広範囲な地域における迅速な復興への期待も寄せています。
この新たな技術により、岡山理科大学は土砂災害への対応力をさらに高めていくことでしょう。災害への備えが進化していく中で、地域の安全にも寄与することが期待されます。