旭化成エレクトロニクスが米スタートアップAizipと提携
画期的なセンシングソリューションの提供へ
旭化成エレクトロニクス株式会社は、米国のスタートアップAizipと提携し、画期的なセンシング技術の開発に取り組むことを発表しました。特に注目されるのが、「ミリ波レーダーによるリアルタイム嚥下検知技術」と「筋電信号を用いたジェスチャー認識技術」という2つのAI対応センシング技術です。これにより、専門知識が不要な高性能なセンシング機能を簡単に製品に組み込むことが可能となり、特に高齢者向けのヘルスケア機器に大きく貢献する期待が寄せられています。
この新技術は、2026年1月にラスベガスで開催される「CES® 2026」にて初公開される予定で、特にデジタルヘルスセクションにおいてその実力が試されることになります。
誤嚥による健康リスクへの対応
厚生労働省の統計によると、誤嚥性肺炎は日本の死因の第6位に位置付けられています。特に65歳以上の高齢者がその影響を大きく受けており、争なく解決策が求められています。そこで、旭化成とAizipの協業は、リアルタイムで嚥下状態をモニタリングするミリ波レーダーソリューションを提案しています。
ミリ波レーダーモジュールは、飲食時の微細な喉の動きを非接触で測定することができ、ウェアラブルデバイスの装着を不要にします。また、AizipのAIモデルは得た信号を解析し、高精度な音の識別を行い、誤嚥リスクの把握に役立ちます。これにより、高齢者が安心して食事を取れる環境を提供することが期待されています。
ジェスチャー認識技術の進化
もう一つの技術である筋電信号を用いたジェスチャー認識も注目に値します。この技術では、前腕の筋肉が発生させる微弱な電気信号をキャッチし、ユーザーの意図を瞬時に理解することが可能です。「手を握る」「手を開く」といったジェスチャーを認識し、操作が行えます。こうした機能は、特にスマートウォッチに利用されることが想定されており、ユーザーは画面に触れることなく操作を行える利便性を享受できます。
さらに、突発的な体調不良や発作などの緊急時には、簡単なジェスチャーでアラートを発信できることも大きな特徴です。
センサー技術とAIの融合
今回の提携によって、旭化成社のセンサー技術とAizipのAIモデルが結合され、革新的な「インテリジェントセンシング」が誕生します。これにより、高度なAI処理をセンサー自体に組み込むことができるため、これまでに無い付加価値を提供できます。特に、産業機器やスマートホーム、さらにはデジタルヘルスやウェアラブル市場への応用が期待されています。
今後の展開
旭化成エレクトロニクスとAizipの協業は、単なる技術開発にとどまらず、社会的な課題解決にもつながるものとして注目されています。特に高齢化社会が進む中、多くの人々にとって「安心」や「健康」を提供できるサポートとなることが期待されています。CES® 2026での発表が楽しみです。
旭化成エレクトロニクスについて
旭化成グループの一員として、電子部品事業を展開する旭化成エレクトロニクスは、独自の技術を活かして、様々な市場に応じた製品を提供しており、今後のさらなる発展が期待されます。