子育ての悩み、相談はネットから他者へと進化する時代
2024年、森永乳業の育児相談窓口「エンゼル110番」が、開設50周年を迎える。これを機に実施した「育児の悩みに関する意識・実態調査」は、現代の育児環境における親たちの心の内を明らかにした。この調査では、過去最長となる平均通話時間19分超えが記録され、親たちの相談がどのように変化しているのかが反映されている。
育児の悩みが複雑化している
調査に参加した妊娠・育児期の親255名のうち、66.7%が「子育ての悩みは複雑化した」と感じている。特に核家族化が進んだことや情報過多と言った要因から、育児の悩みが重層化していることが指摘された。親は従来のように親に気軽に相談できなくなり、育児の方針も多様化しているため、自己の理想と現実とのギャップに悩むケースが多い。
孤立感を抱える親たち
調査結果は、約半数の親が「孤立を感じる」と回答していることも示している。『孤立感を感じる』と答えた人は18.4%、また『やや孤立感を感じる』は30.2%で、合計48.6%に達する。妊娠・育児期の親たちがコミュニケーションに困難を感じている状況は、少子化や家庭環境の変化を反映していると言える。
インターネットが第一の相談先
悩んだときに最初に行う情報収集方法として、73.0%がインターネットを選んでいることも特徴的だ。SNSや検索エンジンを使って情報を得ることが主流になっている。しかし、最初に得た情報では75.9%が「十分な解決ができなかった」と回答し、ネット情報だけでは悩みを解決できないという現実も浮き彫りになった。
対人相談の重要性
最も力を入れるべきは「対人相談」。結果的に、悩み解決に最も有用だった手段として『対人情報源』が45.9%を占めたのに対し、ネット情報源は33.3%にとどまる。親たちは最初はネットで悩みを検索しつつも、最終的には相談できる人にアプローチする必要があることが分かる。
相談するのが難しいという現実
興味深いことに、「親しい人に相談しにくい」と感じる親が53.3%に達する。育児における深刻な悩みを抱えているときに、親しい人に話を持ちかけることが容易でないという状況が浮き彫りだ。孤立感を抱える親たちにとって、この現象は心理的な障壁となっている。
まとめ
エンゼル110番の調査は、育児に関する親たちの気持ちを知る重要な資料となろう。現代の親たちの悩みは、情報化社会における複雑な生活の影響を色濃く反映している。50年間にわたり親たちを支えてきた「エンゼル110番」への期待は高まるばかりである。今後も声のサポートを通じ、親たちの悩みを一つずつ解決していく努力が求められている。