路面電車がつなぐ希望の物語
2023年5月、JTBパブリッシングから刊行された『路面電車の神様、広島から宇都宮へ 奇跡がつないだ14.6キロ』が、第15回「広島本大賞」にノミネートされた。この書籍は、広島を舞台にしたヒューマンノンフィクションであり、被爆の影響を受けた町と人々の姿を描いている。
希望のシンボル、路面電車
著者の山中利之氏は、原爆によって焼け野原となった広島で、希望を灯す存在となった路面電車を中心に物語を紡いでいる。この路面電車の背後には、被爆者やその家族の物語があり、広島電鉄の中尾正俊氏がそのキーパーソンだ。彼は、広島の復興を象徴する存在として、路面電車の発展に全力を尽くしてきた。
物語の構成
本書は大きく二部構成になっており、第一部では1944年から2015年までの広島に焦点を当て、原爆と路面電車の歴史、復興の様子、そして国産初の完全超低床電車の開発までを描写する。第二部では、2015年から2025年の宇都宮での事業を詳細に追い、全国から集まった運転士たちの物語や、脱線事故の復旧作業など、路面電車が地域に根付く様子を紹介している。
広島本大賞との関わり
広島本大賞は、広島県内の書店員を中心に選ばれた広島に関連する書籍が選考される。今回ノミネートされた作品は、他にも9作品があり、読者や書店員の注目を集めている。大賞の発表は2024年2月下旬に予定されており、多くの期待が寄せられている。
路面電車にかける情熱
中尾正俊氏は、広島電鉄の役員として活躍しながらも、その後の75年ぶりとなる全線完全新設のLRTである「宇都宮ライトレール」の開業に尽力した。彼の努力と、仲間たちの絆によって実現したこのプロジェクトは、ただの交通手段に留まらず、人々の日常生活に深く根付く重要なインフラとなる。
終わりに
この本を通じて、我々はただ歴史を見るのではなく、数多の物語や人々の思いが交錯した結果としての路面電車の重要性を再認識することができる。これからも、路面電車という存在が希望の象徴として、多くの人々の心に灯り続けることを願っている。興味がある方は、ぜひ本書を手にとってその感動を感じてほしい。
書誌情報
- - 書名: 『路面電車の神様、広島から宇都宮へ 奇跡がつないだ14.6キロ』
- - 定価: 2090円(10%税込)
- - 仕様: 四六判上製(縦188×横128)、280ページ
- - 発行: JTBパブリッシング
- - 販売: 全国の書店、ネット書店
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