フランスの学生が挑む！プジョー207スパイダーのEV改造プロジェクト

プジョー207スパイダーのEV化プロジェクトに迫る

2024年後半、フランスの工学系教育機関ESTACA Lavalの学生チームが興味深いプロジェクトを始動させました。それは、ガソリンエンジン搭載のレーシングカー「プジョー207スパイダー」を100％電動化し、ヒルクライムマシンへと改造する「FUJ-E」プロジェクトです。

プロジェクトの背景と目的

プジョー207スパイダーは、内燃機関を動力源とする設計が施されています。しかし、近年の環境問題への関心が高まる中、クリーンエネルギーを利用したモータースポーツが注目されるようになってきました。そこで、FUJ-Eチームはこのレーシングカーを電動化し、電動パワートレインの導入を目指しています。しかし、これは簡単な作業ではありません。

チームが直面した課題は、車両の俊敏性を保持しつつ、FIA（国際自動車連盟）の規則に適合させること。具体的には、エンジンや排気装置、燃料タンクなどの熱機関関連部品を全て外し、さらに総重量900kgに収めつつ、約300馬力に相当する220kWの電動パワートレインを搭載しなければなりません。また、十分なバッテリー容量を確保しつつ過度な重量増加を抑えることも必要です。これに加えて、エンジンマウントやバッテリーの配置、冷却システムなど内部構造の見直しも求められます。

3Dスキャナーの導入

これら複雑な工程を効率良く進めるために、SHINING 3Dの3Dスキャン技術が導入されました。最初のステップはボディのスキャンで、これは最高精度を確保するため、Novaトラッカーを用いて複数段階で実施されました。このスキャン結果は、空力解析やボディ改造、更にはカスタムパーツの設計に活用されます。

次に、ボディ部品を取り外した後にシャーシのスキャンが行われます。この段階は、電気部品のマウントやサポート構造を設計する上で極めて重要です。得られた3Dモデルは、モーターやバッテリーパック、冷却システムなどのデジタル統合を可能にし、機械的な制約の予測や部品配置の最適化といった作業にも利用されます。

3Dデータ化により、車両の分解なしで各チームが共通の基盤からの作業を進められ、空力シミュレーション解析や部品マウントのカスタム設計が簡素化されました。これにより、チーム間の技術的な計画立案も円滑に進みます。