阪神バスが上限運賃の改定申請を実施
阪神バス株式会社が、一般路線バスの上限運賃を310円へと改定するため、国土交通省近畿運輸局に認可申請を行いました。この改定は208年にわたり運賃を変更しないという方針を持ってきた同社にとって、厳しい経営環境を鑑みたやむを得ない措置です。
申請の背景
1997年1月に運賃が改定されて以来、阪神バスは運賃を段階的に引き上げることなくサービスを維持してきました。しかし、近年の少子高齢化やモータリゼーションの影響で旅客数は減少しており、さらに経営を圧迫する燃料価格の高騰や物価上昇が重なっています。また、コロナ禍を受けた設備投資の抑制が、今後の車両更新や電気バスの導入に影響を及ぼすことが予測されています。
さらに深刻な運転士不足問題も、自社の経営に新たな負担をかける要因となっています。こうした背景から、公共交通機関としての役割を果たすために上限運賃の改定を決定しました。全国での公共交通の重要性が注目される中、顧客にとっても理解が求められる状況です。
申請内容
申請された内容は、全線の上限運賃を310円に引き上げるというもので、平均改定率は29.3%に達する見込みです。これにより、実施運賃を250円に改定する予定であり、その改定率は4.3%と設定されています。運賃改定は2025年の夏から秋にかけて実施される見通しです。
経営改善の取り組み
阪神バスは、これまでさまざまな施策を通じて経営の効率化に注力してきました。旅客需要に応じた運行ダイヤや路線再編、契約社員制度の導入などによる費用節減はその一環です。また、自動車教習所の送迎をバスに切り替えることで収益性を向上させる施策や、デジタルキャンペーンの利用促進施策も実施しています。
アフターコロナにおいて、阪急×阪神のリアル謎解きゲームへの参加や、デジタル1日乗車券の発売など、顧客サービスの向上に取り組んでいます。これまでの努力により、少しずつではありますが、利用者の回復が見え始めています。
安全性とサービスの向上
阪神バスでは、輸送の安全確保も最優先事項と考えており、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフの導入など、安全対策を強化しています。乗務員に対する教育も充実させ、年に数回の事故防止教育を実施して、乗務員の技能向上を図っています。
また、ICカードの全国相互利用サービスへの参画や、地域に特化した定期券制度の導入により、サービスの充実を図っています。バスロケーションシステムによりリアルタイムで運行情報を提供することで、利用者の利便性を向上させる取り組みも進めています。
環境への取り組み
阪神バスは環境保全にも力を入れており、ノンステップバスの導入や電気バスの推進を通じて、地域の持続可能性に貢献することを目指しています。さらに、小学校訪問などを通じた地域活動の推進や、バスグッズの新設などで広く地域に根ざした企業活動を展開しています。
今後も、阪神バスはお客様にとってより良い移動手段を提供するため、様々な取り組みを続けていくとともに、経営の改善に努めていく所存です。