出光興産株式会社は、2023年12月からAIと最適化モデルを活用した新しいシステムを導入しました。これにより、燃料油の配車計画を作成する際の時間を25%短縮しました。このシステムは特に、サービスステーション(SS)ごとの需要予測をAIが行い、その情報に基づいてタンクローリーの配車を最適化する仕組みを持っています。この方法は、デジタル技術と人間の知見を融合させ、配車計画の品質を保ちながら効率的な作業を実現しました。
具体的には、出光興産では約70名の配車担当者が、1日あたり約5,000件の配送オーダーに対応しています。これに伴い、最大1,800台のタンクローリーの適切な配車計画を作成する必要があります。従来は多くの条件を考慮しながら作業を行っていたため、時間がかかっていました。しかし新システム導入後は、配車計画作成が迅速になり、作成時間を短縮することで従業員全員が同一レベルの配車計画を維持することが可能となりました。
このシステムの特徴の一つは、需要予測機能です。各SSごとにレギュラーガソリンや軽油の販売量を学習し、高精度の需要予測が行われます。これにより、計画配送先の在庫を安定化させる役割を果たしています。さらに、需要予測やSSの在庫情報を元に、特約販売店からのオーダーも考慮した最適な配車計画が作成される点も注目です。
また、配車担当者がAIと最適化モデルの出力を基に判断し、必要に応じて配送先の具体的事情を組み込むことで、質の高い配車計画を実現しています。このように新システムは、業務の効率化と人的スキルを融合させることで、取引先からの信頼向上にもつながるでしょう。
開発過程で、出光興産はアクセンチュアと共同で行なっており、配車担当者の意見を反映したプロトタイプが作成されるアジャイル開発手法を採用しました。導入後も現場に開発者が常駐し、担当者の使いやすさを高めるためのフィードバックを受けながら改善を続けています。これにより、配車計画の作成がより滑らかになり、業務効率化が期待されています。
出光興産は今後も最新技術を追求し、物流の2024年問題といった社会課題に取り組む姿勢を示しています。効率的な業務運営とエネルギーの安定供給をバランスよく実現するため、引き続き革新的な取り組みを推進していくことでしょう。