キヤノンとPenn Medicine、最先端CT技術の開発に向けた共同研究の実施
キヤノンは、米国ペンシルベニア大学のPenn Medicineと手を組み、次世代のフォトンカウンティングCT(PCCT)技術の研究に取り組むことを発表しました。この取り組みは、より高精細な医療画像を提供しつつ、放射線被ばくを低減することを目的としています。
キヤノンの副社長で、キヤノンメディカルシステムズの代表取締役社長である瀧口登志夫氏は、「Penn Medicineを含む世界中の皆さまとの協力を通じて、PCCTを用いた画像の解像度向上や応用の研究に努めます。われわれの理念“Made for Life”に基づき、革新技術を通じた患者ケアの充実を図ります」と述べています。
放射線科のPeter B. Noël准教授が中心となるこの共同研究では、心臓及び胸部画像の専門家であるHarold I. Litt教授も関与しています。Noël准教授は、「この技術は、画像解像度を向上させながら放射線被ばくを抑えることができるため、多くの患者を助ける大きな可能性を秘めています」と期待を寄せています。
フォトンカウンティングCT技術の注目ポイント
PCCTは、最新のフォトンカウンティング検出器を搭載した画像診断装置で、入射するX線のエネルギーを正確に識別することが可能です。この技術により、複数の物質構成の特定が容易になり、診断の精度が劇的に向上します。さらに、画像の高分解能化により、臓器の病変検出率も向上し、従来の装置に比べて放射線による被ばく線量の低減も期待されています。
キヤノンのPCCTには、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)を用いた独自の検出器が採用されており、これによりX線光子の捕捉能力が向上しています。これに伴い、線量効率も改善されます。また、特注のコンパクトな検出器回路が整備されており、従来のCT装置に比べて面積あたりの線量効率を最大適化する設計がなされています。
さらに、キヤノンがこれまでに培ってきた画像再構成技術が加わることで、患者の体型や体格によらず、PCCTの画質を常に最適な状態に保つことが期待されています。
今後の展望とイベント情報
この取り組みの一環として、キヤノンは2024年12月1日から5日までシカゴで開催されるRSNA2024(The Radiological Society of North America)に出展し、多岐にわたる医療機器ソリューションを紹介します。特に、12月2日にはPenn Medicineの研究者によるPCCTの使用経験に関するセミナーが予定されており、現場での実践的な知見が共有されることが期待されています。
このような先進的な取り組みが実を結ぶことで、患者ケアの向上に寄与することに非常に期待が寄せられています。今後の研究進展に注目したいと思います。