日本のLGBTQI+労働者の実態:Z世代の31%が退職、職場環境の課題が浮き彫りに
総合人材サービスを提供するランスタッド株式会社が実施したパルスサーベイで、日本のLGBTQI+労働者の職場環境に関する深刻な実態が明らかになりました。
調査によると、日本のZ世代の31%が、自分のセクシュアリティや性自認が原因で退職した経験を持つことが判明しました。これは、他の世代と比較しても高い割合であり、日本の職場環境における課題を浮き彫りにしています。
さらに、Z世代の46%が職場での差別を経験しており、31%が自分のセクシュアリティや性自認が原因で職場に居心地の悪さを感じ、仕事を辞めた経験があると回答しました。これは、日本の平均値を上回る割合であり、Z世代が特に職場環境の改善を強く求めていることがわかります。
世界と比較して低い、日本のLGBTQI+労働者のオープンネス
日本のLGBTQI+労働者の職場におけるオープンネスは、調査対象7カ国の中で最も低く、わずか34%でした。これは、セクシュアリティや性自認について職場では話しにくいと感じている人が多いことを示唆しています。
一方、Z世代は42%と、ミレ二アル世代の27%をはじめその他の世代との間に開きがあり、上の世代よりもオープンにすることに対する抵抗が低い結果となりました。このことから、若い世代では職場における多様性や包容性がより重視されている傾向が見られます。
日本の雇用主は包括性において世界に遅れをとっている
調査では、LGBTQI+労働者の雇用主や所属する組織の状況について5つの項目で評価が行われました。その結果、日本は各国の平均を下回る評価となり、企業のインクルージョンへの取り組みには改善の余地が大きいことが示されました。
ランスタッドCHRO ヨス・シュット氏は、「日本におけるLGBTQI+の認知と理解は着実に拡大しています。しかし、レポートが明らかにしているような課題も多く存在します。安心して働けることの条件である、アイデンティティーの包括的な肯定がない職場環境では、まずその障害を乗り越える労力を必要とするため、能力を発揮できず、仕事でも最大限貢献することができません。」と述べています。
日本企業にとっての課題:多様性と包容性を重視した職場環境の構築
人材不足が深刻化する日本において、すべての人が本来の能力を発揮できる公平な職場作りを実現することは、企業にとっての優先課題です。
ランスタッドは、今回のパルスサーベイ結果を踏まえ、企業がLGBTQI+労働者にとって働きやすい職場環境を構築するための支援を強化していくとしています。
職場環境の改善に向けて、企業はどのような取り組みを進めるべきか?
企業は、以下の取り組みを通じて、LGBTQI+労働者にとって働きやすい職場環境を構築していく必要があります。
多様性と包容性を重視した企業文化の醸成:LGBTQI+に関する研修や啓発活動を実施することで、従業員の理解と意識を高め、差別のない職場環境を構築します。
セクシュアリティや性自認に関するオープンなコミュニケーション:従業員が自分のセクシュアリティや性自認について安心して話せるような環境を作ることで、オープンなコミュニケーションを促進します。
LGBTQI+の従業員が安心して働けるための制度整備:性別変更の手続きの簡素化や、パートナーシップ制度の導入など、LGBTQI+の従業員が安心して働けるための制度を整備します。
LGBTQI+の従業員へのサポート体制の構築:相談窓口の設置や、LGBTQI+の専門家による相談支援など、LGBTQI+の従業員が安心して相談できる体制を構築します。
より良い未来のために:LGBTQI+の包容性を推進する社会へ
企業は、LGBTQI+の従業員が安心して働ける環境を構築することで、多様な才能を引き出し、企業の成長に繋げることが期待されます。
日本の社会全体で、LGBTQI+に対する理解と包容性を深め、誰もが自分らしく生きられる社会を実現していくことが重要です。