耳介部の皮膚温から深部体温を推定する新技術の開発

ポーラ・オルビスグループの研究部門であるポーラ化成工業株式会社が、運動時における深部体温の変化を簡便に測定するための新たな技術を発表しました。この成果は、中京大学スポーツ科学部の松本教授らとの共同研究によるもので、特に猛暑時の労働や運動に役立つと期待されています。

深部体温の重要性と難しさ

暑熱環境下において、深部体温の上昇は人間の健康に深刻な影響を与えます。一般的な体温計やサーモカメラを用いて深部体温を把握しようとすると、非常に困難な場合が多いです。そのため、ポーラ化成工業は従来の方法に代わる新たな手法を模索していました。

耳介部の温度と深部体温の関係

研究チームは、中京大学の男子学生15名を対象に、自転車による運動中に顔と耳介部の皮膚温をサーモカメラで測定しました。この実験により、耳介部の皮膚温が深部体温の変化を推定する上で高い相関関係を示すことが確認されました。

これまで、耳は体温調節において重要な役割を果たすと考えられてきましたが、今回の研究はその機能に新たな光を当てるものでした。耳介部からの熱放散が深部体温の上昇に関連していることが示唆され、今後この知見をもとに、より効果的な体温管理が可能になることが期待されます。

暑熱対策への応用

ポーラ化成工業は、この研究成果を基に、暑い環境下における職場やスポーツ現場での体調管理の向上を目指しています。特に、騒がしい現場でも簡単に測定できる技術の確立は、作業者やアスリートにとって大きな利点となるでしょう。早期の異常検知が可能になれば、熱中症などのリスクを大幅に減少させることができるかもしれません。