日本初の3Dアート
2023-03-10 02:08:44

日本初の建設用3Dプリンターが生み出すアート作品とその裏側

日本初の建設用3Dプリンターがもたらすアート



近年、テクノロジーが進化する中、アートと建築の融合が新たな領域を開いています。特に、建設用3Dプリンターがもたらす可能性には大きな期待が寄せられています。本記事では、日本初の建設用3Dプリンターを使用して制作された彫刻作品について詳しく紹介します。

新たな挑戦:Nell Shiinaとアラタ スズキのコラボレーション



このたび発表されたのは、アーティストNell Shiinaと建築家アラタ スズキの協業による作品です。制作には株式会社MAT一級建築士事務所(以下、MAT社)の先進的な3Dプリンター技術が利用されています。Nell Shiinaは、イメージした石膏のサンプルを提供し、MAT社がそれを3Dスキャンすることから制作がスタートしました。

3Dスキャンされたデータは、MAT社の代表取締役であり建築家の田中朋亨が設計して、実際の構造案へと進化しました。その後、アラタ スズキは再構成したデータを基に、MAT社のチームが3Dモデルを作成しました。こうして、現代の技術とアートが融合し、新たな作品が形になるプロセスが進んでいきます。

作品制作の過程と調整



当初、計画されていた彫刻は高さ約3メートルの柱状作品でしたが、設置場所である波心庭では重機が使用できないことが判明しました。そこで、MAT社は人が運べるサイズと重さに調整し、印刷部分の高さを2メートルに縮小。これを7つのパーツに分けて印刷することに決定しました。

各パーツは、空洞を持つ安全設計が施され、スチール製の支柱を用いてこれらのパーツが積み上げられました。このスチール製支柱もMAT社内で制作され、堅牢性を確保しています。

完成した作品は、京都の東福寺光明院に設置されました。作品の頂点には、Nell Shiina自身が石膏で制作したパーツが配置され、力強い印象を与えています。

新しい技術の実用化と展望



MAT社の田中朋亨は、今回のプロジェクトについて「日本で初めて建設用3Dプリンターを活用し、確認済証を交付されたことは光栄です」と語っています。また、彼は「専門教育を受けたオペレーターが在籍し、高度な技術を駆使しています。今後ともこの新しい技術を用いて、様々なプロジェクトに挑戦していきたい」と展望を語りました。

アーティストと建築家の背景



Nell Shiina


イングランドと日本にルーツを持つNell Shiinaは、パリとロンドンを拠点に活動するアーティストです。彼女は16歳で彫刻家としてのキャリアをスタートし、近年は京都に自身のアトリエとカフェを併設したギャラリーを運営しています。彼女の作品は、物理学や哲学を取り入れた懐疑的なテーマが特徴です。

アラタ スズキ


一方、アラタ スズキは東京生まれ。早稲田大学大学院を修了後、2023年に自身のスタジオを設立しました。彼は宗教学的アプローチを取り入れ、空間のデザインを通じた新たな視点を提案しています。

未来のアートと技術



近年、アートとテクノロジーの交差点に位置するプロジェクトが増えており、建設用3Dプリンターはその一例として注目されています。今後、建築とアートを融合させた作品がさらに増えることでしょう。日本の文化や伝統を背景にした新しい表現が生まれることを期待しています。

このプロジェクトは、単に彫刻作品を制作するだけでなく、最新技術を通じて新たな価値観を創造する試みでもあります。今後の展開に目が離せません。

会社情報

会社名
株式会社MAT一級建築士事務所
住所
群馬県吾妻郡東吾妻町岩井266-7
電話番号

トピックス(エンタメ)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。