笠間市が進めるデジタルトランスフォーメーションの新展開
2024年9月4日、茨城県笠間市は、Claris International Inc.によるローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker」を導入したことを発表しました。この取り組みは、庁内業務の効率化を目指したデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として位置付けられています。
導入の背景
笠間市では、令和2年9月に策定された「笠間市デジタルトランスフォーメーション(DX)計画」に基づき、デジタル人材の育成や市民サービスの向上を目指して様々なデジタル化を進めています。現在はその第2次計画である「第2次デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」に取り組んでおり、特に先端技術の利用促進が重視されています。
この計画の大きな柱となっているのが、ノーコード・ローコード開発ツールの活用推進です。その一環として、令和5年度よりClarisと連携し、FileMakerを用いた業務システムの開発と実証検証が行われてきました。高齢福祉課が対象となり、要介護認定業務のプロトタイプを開発し、試験運用が実施されました。その結果、業務効率化や開発の柔軟性、システムの安定性が高く評価され、正式に導入される運びとなりました。
導入前の主な課題
要介護認定に関する進捗管理は、従来複数のExcelファイルに依存して行われており、同一データの重複入力等が業務に負担をかけていました。また、年間数千件に上るデータが分散されて管理されるため、必要な情報の検索や照会に多くの時間がかかり、問い合わせ対応も煩雑でした。
さらに、Excelファイルが複数人で共有される中、ファイルのクラッシュが頻発しており、堅牢なデータ管理システムが必要とされていました。
取り組み内容と効果
新たに導入されたFileMakerを活用したシステムにより、進捗管理が一元化され、複数の職員が常に最新情報を確認できるようになりました。システム上では、
- - 要介護認定申請情報
- - 訪問調査予定
- - 主治医意見書の状況と手数料の支払履歴
- - 審査会の日程や結果通知日などのスケジュール
といった情報が効率よく管理できるようになっています。申請情報のデータインポートや、医療機関への手数料支払いの自動化などが実現され、入力作業の軽減や誤入力防止にもつながっています。
この取り組みにより、年間250時間以上の業務時間が削減される見込みです。さらに、職員による内製開発が進むことで、現場のニーズを反映した使いやすいシステムへと進化していくことが期待されています。
今後の展望
笠間市では、FileMakerを活用した業務改善を他の部署にも展開し、さらなるデジタル化を進める計画です。この取り組みによって蓄積されるデータの分析活用を通じて、住民の利便性向上や行政サービスの質の向上を図ることが目指されています。Clarisは引き続き、これらの取り組みを支援していく方針です。
Claris FileMakerについて
Claris FileMakerは、各種業務で直感的に課題を解決するカスタムAppを迅速に開発できる、革新的なローコード開発プラットフォームです。これにより、コーディング知識を持たないユーザーでも独自のアプリを作成することが可能となります。さまざまな業種で広く利用され、特にセキュリティを重視する政府機関や医療機関などでの導入が進んでいます。
まとめ
地域行政におけるデジタルトランスフォーメーションは、住民サービスの向上と業務の効率化に寄与する重要な取り組みです。笠間市の今回のClaris FileMaker導入は、その一翼を担うものであり、今後の進展が大いに期待されます。