モルフォが開催したハッカソン、最先端イベントベースビジョンセンサーの実用化を目指す
株式会社モルフォが先日、イベントベースビジョンセンサー(EVS)の実用化を目的に、社内でハッカソンを実施しました。このイベントには、EVSとAIを提供するProphesee社の協力があり、参加者は日常生活の課題解決に向けたソリューションを開発しました。開発したアイデアは順次、商業化へつなげる見込みです。
EVSとは?
□イベントベースビジョンセンサーの特徴
EVSは、人間の視覚が光をキャッチするメカニズムを模倣した高性能センサーです。このセンサーは、従来のフレームベースセンサーとは異なり、各画素が一定の輝度変化を感知した際にのみデータを出力します。そのため、高速で低消費電力、そして遅延が少ない特性を持ち、多くの応用が期待されています。
モルフォは、この最先端技術の知見を深め、ユニークなソリューションを生み出して新規事業を創出することを目指しています。
ハッカソンの詳細
このハッカソンでは、エンジニアと営業から成る3つのチームが参加し、アイデアの実現度、プレゼンテーション、技術力、市場価値、独創性という5つの評価基準に基づき、3ヶ月間にわたってソリューション開発を行いました。また、Prophesee社が提供したEVSカメラも活用され、審査員としても参加しました。
開発したソリューション
1.
光無線通信 (Optical Wireless Communication)
このチームは、EVSが持つ高フレームレートと省エネルギーを活かして、高速なデータ通信を可能にする光無線通信を提案しました。情報を2次元の明滅パターンに変換し、ディスプレイ上で高速に明滅させることで、EVSを用いてリアルタイムで情報を受信する仕組みを示しました。
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活用例: 建物内のLED照明に地図や位置情報を持たせることで、EVSを搭載したスマートフォンで位置を把握できる。ロボット間での位置情報交換も可能です。
2.
スマートなドア制御
このチームは、ドア管理に着目し、EVSを活用することで、既存のセンサーでは難しかった高セキュリティなアクセス制御を目指しました。顔認証のセキュリティ上の脆弱性を考慮し、EVSを用いた本人認証を開発したことで、より安全な施錠・解錠の実現に向けたデモンストレーションを行いました。
3.
スマート照明システム
このプロジェクトでは、マンションの共有スペースの照明管理に焦点を当て、EVSを用いることで照明の効率を改善することを目指しました。従来の人感センサーと違い、EVSの特性を活かしたシステムにより、プライバシーを保護しつつエネルギー削減を実現します。
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削減効果: 年間約100万円の電気代節約、15トンのCO2排出削減。
Prophesee社のコメント
Propheseeの製品は、消費電力とデータ容量を大幅に削減し、従来のカメラでは捉えられない情報を提供することで、さまざまな分野に革命をもたらします。今回のハッカソンは、EVSを実用化し、新しいソリューションを創出するための重要なステップです。
会社概要
モルフォは、画像処理やAI技術を駆使し、主にスマートフォンや産業用IoT分野へ向けたソフトウェアを開発しています。持続可能な社会の実現を見据えたイノベーションを通じて、未来の生活を豊かにする技術を提供しています。
ハッカソンを通じて生まれたアイデアが、今後のビジネスにどう結びつくのか、引き続き注目が集まります。