デザインの視点から読み解く人類史
新刊『〈連鎖〉の冒険』が、デザインと歴史の関係を鮮やかに描き出します。著者である松田行正氏は、40年以上にわたりグラフィックデザインの分野で多くの成果を上げてきた第一人者です。彼の目を通じて、我々はデザインが持つ隠れた力や歴史の中での役割を再認識させられます。
不思議な因果関係の発見
本書では、古今東西のデザインの背景に潜む「連鎖」の現象に光を当てます。例えば、ストライプ模様や黄色といった一般的なデザイン要素が、かつてどのように忌避されたのか、また現在の価値観がどのように形成されたのかを考察します。ストライプはかつてキリスト教カトリック派から嫌われたものの、宗教改革を契機に新たな意味を持つようになり、現在ではモダンデザインの代表とも言える存在となりました。
同様に、黄色は過去にユダヤ人を象徴する色として否定的に扱われていましたが、近代以降は親しみやすい色として広く受け入れられるようになりました。こうした変遷を通じて、デザインはいかに社会の価値観と結びついているのかを探ります。
多角的な視点で問題を考える
本書は、単なるデザインの解説に留まらず、現代社会における戦争や差別、独裁政権の背景にまで踏み込んだ考察を提供します。歴史の中で繰り返される選択や構造を通じて、現代の問題を見つめ直す視点を提供します。視点を変えることで、同じ事実から全く別の景色が見えてくるということを松田氏は強調しています。
紙ならではの仕掛け
『〈連鎖〉の冒険』には、紙の特性を生かした仕掛けも組み込まれています。ページの小口をずらすことで、「真珠の耳飾りの少女」や「The Yellow Book」第1号の表紙が現れる視覚的な工夫が施されています。松田氏独特の遊び心が随所に散りばめられており、手に取った瞬間から享受できる楽しみがあります。
著者について
松田行正氏は、その活動を通して「デザインの歴史探偵」を自称しています。数々の賞を受賞し、数多くの著書を持つ彼ですが、本書『〈連鎖〉の冒険』は新たな視点からデザインと歴史を繋げる意欲作です。彼の作品や考察は、デザインに興味を持つ全ての人々に新しい視点を提供してくれることでしょう。
この本は2026年5月27日発売予定となっており、価格は3,520円(税込)です。松田氏のデザイン哲学をぜひ、お手元に置いて楽しむことをお勧めいたします。