漬物店の危機
2024-10-07 13:06:59

消えゆく故郷の味、漬物店の倒産が過去最多に迫る危機の裏側

漬物店の倒産が過去最多ペースに



伝統的な「故郷の味」として親しまれてきた漬物店が、今、存続の危機に直面しています。帝国データバンクによる最新の調査結果によれば、2024年9月までの集計で、漬物店の倒産や廃業が過去最多のペースで進行していることが明らかになりました。負債額が1,000万円を超える倒産が8件、休廃業や解散が16件と、合計で26件が市場から消え去ったことが報告されています。この数値は、前年の通年(18件)をすでに上回っており、年間では過去最多となる可能性が高いとされています。

経営環境を取り巻く「三重苦」



漬物の生産・販売を行う店舗は、現代の厳しい経営環境に対抗するためさまざまな苦難に直面しています。「三重苦」と称されるこの状況は、食文化の多様化に伴う消費者の嗜好の変化、安定しない原材料の価格、そして経営者の高齢化によって構成されています。特に、健康志向の高まりは漬物への関心を引き上げたものの、実際の消費量は2000年以降で3割以上も減少しているのです。

漬物の原料となる野菜は、国産では天候不順による影響を受け、海外産では円安の影響が重なっています。また、材料費や人件費、配送費、さらには資材費の上昇が続いており、漬物店の経営は厳しさを増しています。さらに、漬物店の代表者のおよそ6割が60代以上であり、業界全体の平均年齢は61.6歳と高齢化が進んでいます。

法改正がもたらした影響



そんな中、2023年6月には食品衛生法の改正が施行され、漬物製造に対して保健所の営業許可が必要となりました。これは、衛生基準に準拠した加工所を整備することを求められる一因となり、結果的には多額の設備投資が必要になります。この法改正が漬物店にとって最後の決断を強いる要因となり、リタイアを選ぶ店舗が目立っています。

地域の対応と未来への懸念



現在、地域の漬物文化を守るために、一部の自治体では生産者に対する設備資金の補助金が支給されるなどの支援策が講じられています。しかし、道の駅や直売所において漬物製品の供給が途絶えるケースもあり、背景には多くの生産者が非公開で廃業や事業縮小を選択している可能性が存在しています。このままでは、地域特有の漬物文化の消失や、規模の縮小が懸念されます。

まとめ



漬物店の増加する倒産と廃業によって、故郷の味が次第に失われつつある現状が浮き彫りになっています。存続のためには、業界全体での協力や地域の支援が不可欠です。今後どのようにして伝統の味を守っていくのか、その方策が求められる時代にあると言えるでしょう。


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会社情報

会社名
株式会社帝国データバンク
住所
東京都港区南青山2-5-20
電話番号
03-5775-3000

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