金融包摂促進とマネーロンダリング対策の新たなガイダンスが発表
FATFが金融包摂とマネロン対策に関するガイダンスを発表
2025年6月23日、金融活動作業部会(FATF)は新しいガイダンスを公表しました。このガイダンスの目的は、金融包摂を促進しながら、マネーロンダリング(マネロン)やテロ資金供与の対策を強化することです。本記事ではこれらの新たな方針について詳しく解説します。
ガイダンスの背景と目的
FATFは1989年に設立され、近年ではマネロンとテロ資金供与対策が強化されています。新たに公表されたガイダンスは、2023年2月に改訂された基準を基にしており、特に金融包摂とデリスキングの観点から有益な情報が盛り込まれています。ここでのデリスキング(de-risking)とは、金融機関が特定の顧客との関係を避けることで、リスクを回避する行動を指します。
主な内容
特に、ガイダンスではリスクが低いと考えられる場合における簡素化した措置を適用することが推奨されています。また、リスクベースのアプローチ(RBA)の実践を促進するため、監督当局が果たすべき役割や成功事例についても言及されています。
例えば、金融機関が過剰なリスク回避を行わないようにするため、具体的なアプローチや手法が示されています。これにより、金融サービスの提供を求めている顧客が排除されることなく、適切な保護を受けながらサービスを享受できるようになります。
ガイダンスの意義
この新しいガイダンスの重要性は、金融包摂の促進とマネロン対策のバランスを取ることにあります。金融サービスを受けられない人々が多く存在する中、金融機関がリスクを過度に避けてしまうと、正当な顧客までがサービスを受けられなくなってしまう可能性があるからです。したがって、リスク評価の適正化とその結果に基づく適切な対応が求められています。
おわりに
FATFの新ガイダンスは、金融機関が抱えるリスクに対する理解を深めつつ、金融包摂の目的を実現するための良い指針となります。これにより、金融セクターがより広範な顧客層にサービスを提供できる環境が整備されることが期待されています。今後の日本および世界の金融環境において、FATFの方針は一層重要な役割を果たすことでしょう。