萩原株式会社が発表したイグサエキスの臨床試験結果
岡山県倉敷市に本社を置く萩原株式会社は、静岡県立大学の名誉教授、武田厚司氏と株式会社佐藤園との共同研究により、畳表の原料として知られる「イグサ」のエキスが高齢者の認知機能改善に寄与する可能性があるとの研究結果を発表しました。この研究は、世界初のヒトを対象にした臨床試験として、国際的な学術誌「Nutrition」に掲載されました。
研究概要
本研究は、記憶力に自覚症状のある健康な男女41名(平均年齢69歳)を対象に、24週間にわたりイグサエキス錠を摂取する試験を行いました。試験はランダム化二重盲検プラセボ対照試験として実施され、参加者は1日1回、デヒドロエフソールが含まれたイグサエキスとプラセボを摂取しました。認知機能の評価には「ファイブ・コグ試験」や「ペグボード試験」が用いられ、その結果、イグサエキスを摂取したグループにおいて記憶力や視空間認知能力、手先の器用さの向上が確認されました。
臨床試験の意義
この試験は、イグサエキスが高齢者の脳の健康維持に貢献する可能性を示唆するものであり、今後の高齢化社会における健康問題解決への寄与が期待されています。また、試験期間中は特に副作用の報告はありませんでした。
研究の背後には、イグサが古来より日本人に親しまれ、漢方においても利用されてきた実績が存在しています。イグサの皮を剥がした芯は、灯心草(トウシンソウ)と呼ばれ、古代から脳の興奮を抑えるお茶として調理されてきました。この伝統的な知恵と現代の科学が結びつくことで、新たな健康食品の誕生が期待されています。
イグサエキスの成分と効能
イグサに含まれるデヒドロエフソールは、GABAA受容体への作用を示し、脳機能に対する良好な効果が期待されています。この成分は、アルツハイマー病に関連するアミロイドβの毒性を低減し、神経細胞を保護する影響も報告されています。また、亜鉛イオンのバランスを調整することで、神経細胞の健康維持を助ける可能性もあるとされています。
今後の展望
萩原株式会社は、デヒドロエフソールを含有する食用イグサエキスを開発し、高齢者の健康維持に資する機能性表示食品の展開を進める意向です。これにより、イグサの新たな用途開発と、社会的課題の解決へ向けての貢献が期待されています。
企業情報
萩原株式会社は、1892年に設立以来、伝統を重んじつつも新たな価値創造に取り組んでいる企業です。岡山県倉敷市に本社を構える同社は、健康的な未来に向けた新たな挑戦を続けています。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。