双日、米国貨車リペア事業の全株式を取得
双日株式会社(以下、「双日」)は、米国の貨車リペア業界において重要な一歩を踏み出しました。自社の100%子会社である双日米国会社を通じ、Texan州に本社を構えるWashamerica Inc.(通称BWS)の全株式を取得したのです。この買収は、双日がカナダで展開していた貨車リペア事業のネットワークをさらなる拡大をもたらすことを目的としています。
BWSの特徴と成長背景
BWSは1967年に設立され、米国の石油業界を主要な顧客とするタンク貨車のリペアや法定車検を中心としたサービスを提供してきました。特に、北米最大手の貨物鉄道会社であるUnion Pacificの巨大ターミナルと隣接した立地が、短納期での高品質なサービスを可能にし、顧客からの信頼を獲得しています。これにより、さまざまなビジネスチャンスを生かしながら成長を続けています。
アメリカの貨物鉄道市場
アメリカは世界最大の貨物鉄道市場を抱えており、この輸送手段は米国全体の約20%の物流を支えています。特にタンク貨車は全貨車の約30%を占め、LPガスや化学品といった重要な商品輸送に利用されています。今後、中長期的にはこの輸送量が増加することが予想されています。また、鉄道は輸送あたりのCO2排出が自動車の約10分の1であることから、環境の観点でも注目されています。
双日のこれまでの歩み
双日は、鉄道車両の管理において60年以上の経験を持ち、北米鉄道事業においては2015年からの取り組みを強化しています。カナダ東部での鉄道車両のメンテナンス事業への参加から始まり、カナダ西部での貨車リペア事業や、テキサス州での貨車リース事業への参入など、段階的に事業を拡大。これらの経験を基に、BWSの獲得によって新たなシナジー効果を生み出すことを目指しています。
今後の展望
双日は、北米における貨車リペア及びリース事業の強化とともに、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進を通じて環境への配慮も進めていく方針です。これにより、持続可能な社会の実現に寄与することを目指し、事業の発展を図っていきます。今回のBWSの買収は、その一環として非常に重要なケースとなるでしょう。
このように、双日は北米でさらなる成長を目指すとともに、その取り組みが今後の鉄道業界にも良い影響を与え、多くの新たなビジネス機会を創出することが期待されています。