高齢者が俳句でつながる新しいSNSが福工大生から誕生
福岡工業大学の学生から生まれた新しいベンチャー「株式会社熊猫」が、高齢者向けSNS開発に取り組んでいます。このプラットフォームは、80万句とも言われる膨大な俳句データを活用し、高齢者が安心して俳句を発信できる空間を提供します。
高齢者の心情をつなぐ「俳句SNS」
株式会社熊猫は、福工大情報工学科の馬場研究室が進めてきた俳句コンテストの検索AIの開発を基にしています。この研究過程で蓄積された俳句データは、世界最大規模のもので、今後はこれを用いて高齢者が気軽に俳句を発信できるSNSを構築。俳句の評価を通じて、利用者の心情を把握し、精神的な健康や不安のケアにもつなげることが目的です。
高齢者の交流と不安への理解
より高齢者のニーズに応えるべく、福岡県古賀市との共同研究を進めてきた馬場研究室。地域の高齢者を対象にしたスマホ教室では、参加者が「SNSにチャレンジしたい」という声を上げたことが明らかになりました。しかし、多くの方がSNSを利用したい気持ちがありながらも、個人情報の流出やトラブルへの不安から実行に移せずにいるといいます。
そのため、株式会社熊猫では、自然言語処理技術をもとに、個人情報を守るためのAIの開発にも取り組む予定です。これによって、安全・安心なSNS利用を図ります。
データとAIで高齢者社会を支援
発起人は、大学院生たちであり、もともとAIやデータサイエンスに強い興味を持っていました。特に地域の高齢者と交流する中で、彼らの生活に役立つ形で研究成果を広げたいという思いを強くし、特に認知症予防に寄与するシステムを創りたいと考えています。今後2年を見据え、「俳句AI」と「個人情報保護AI」の開発と、その導入を目指し、計画を進めています。
今後のスケジュール
このプロジェクトは、2024年度は会社設立、データ収集、解析、システム開発の段階を踏み、2025年度には実証実験を経て運用開始を目指します。高齢者が互いに支え合える環境を、俳句を通して実現するこのプラットフォームに期待が集まります。
高齢者向けSNSは、これまでにない新たな形の相互のつながり方式を提供することで、社会への貢献につながることを目指します。