2026年卒就職ブランドランキング:安定志向と企業努力が鍵
2026年卒業予定の学生を対象とした就職ブランド調査で、伊藤忠商事が3年連続で1位を獲得しました。この結果から、学生の就職活動におけるトレンドが見えてきます。
総合商社の強さ
伊藤忠商事の首位獲得は、同社の働き方改革の取り組みと、若年層への効果的な企業イメージ戦略が奏功した結果と言えるでしょう。10年以上にわたる働き方改革、20時以降の残業禁止、そして宇多田ヒカル氏を起用したCMによる親しみやすい企業イメージの構築は、学生たちの共感を呼びました。
総合商社の人気は高く、住友商事、三菱商事なども上位にランクインしています。グローバルな事業展開と高い社会的ステータスが、難関大学学生を中心に支持を集めている理由と言えるでしょう。
金融・IT業界の安定した人気
金融業界からは、日本生命保険、大和証券グループ、東京海上日動火災保険など複数社がトップ10入りを果たしました。女性活躍推進など、働き方改革への積極的な取り組みが、学生にとって魅力的な業界であるという印象を与えているようです。
IT・通信業界も高い人気を誇り、Skyなどが上位にランクインしています。IT技術の社会的重要性や、学生自身のアルバイト経験などから、その将来性を実感している学生が多いことが伺えます。
BtoB企業の躍進
大日本印刷やTOPPANといったBtoB企業も、学生への早期認知戦略によってランキングに名を連ねています。生活に身近な製品やサービスを提供していることを学生に効果的にアピールすることに成功した好例と言えるでしょう。
理系・女子ランキングの傾向
理系ランキングでは、ソニーが4年連続のトップを獲得しました。DX人材採用にも積極的なIT企業や総合商社も上位にランクインしており、理系学生の就職先選択における多様性も示唆しています。
女子ランキングでは、マスコミ・エンタメ系の企業の人気が高い結果となりました。クリエイティブな仕事への憧れや、早期からの志望表明といった要因が考えられます。博報堂、KADOKAWA、集英社など、多くの企業が上位にランクインしています。
早期化と安定志向の加速
インターンシップルールの変更により、採用活動の早期化が進んでいます。そのため、早期から学生との接点を持つ企業が有利な状況となっています。
また、調査結果からは、学生の「大手企業志向」が強いことが分かります。不確実な社会情勢の中で、安定した環境を求める傾向が強まっていると言えるでしょう。企業の社風、福利厚生、勤務地、年収といった項目に関心を示す学生が多いことから、物質的・精神的な安定を重視する傾向が明確です。
調査概要
本調査は、文化放送キャリアパートナーズが運営する就職サイト「ブンナビ」を利用する2026年春入社希望の学生を対象に、2024年4月1日から9月30日にかけて実施されました。有効回答数は7,930件にのぼります。
まとめ
本調査の結果は、学生の就職活動における変化と、企業の採用戦略の現状を浮き彫りにしました。安定志向の高まり、早期採用活動への対応、学生への効果的な企業イメージの醸成といった要素が、今後の採用活動においてますます重要になっていくと考えられます。