食品表示部会が開催、デジタルツール活用や栄養成分表示の見直しなど議論活発化
食品表示部会が開催、デジタルツール活用や栄養成分表示の見直しなど議論活発化
2024年5月28日、消費者委員会の第70回食品表示部会が開催され、食品表示に関する最近の動向について議論が活発に行われました。
今回の部会では、食品表示制度の国際基準への整合化や、消費者にとって分かりやすい表示を目指した取り組みについて、具体的な議論が行われました。特に、注目を集めたのは、食品表示へのデジタルツール活用の可能性と、栄養成分表示の見直しに関する議論です。
デジタルツールの活用:容器包装表示の代替の可能性を探る
近年、国際的な議論の中で、食品表示の情報提供にデジタルツールを活用する動きが加速しています。コーデックス委員会では、容器包装に記載されている情報をQRコードなどで代替するガイドライン案が検討されています。
部会では、この国際的な動向を踏まえ、デジタルツールを活用した情報提供のメリットと課題について議論が交わされました。
特に、消費者が容器包装に記載された情報とデジタルツールで提供される情報の両方を確認する必要が生じる可能性や、デジタルツールが普及していない地域における情報格差など、消費者の利便性と情報アクセスに関する課題が指摘されました。
一方で、デジタルツールを活用することで、より詳細な情報提供が可能になることや、消費者が商品に関する情報に簡単にアクセスできるようになるなどのメリットも期待されています。
今後、デジタルツールを活用した情報提供の在り方については、消費者の利便性と情報格差の解消、事業者の負担軽減など、様々な観点から慎重に検討していく必要があります。
栄養成分表示の見直し:分かりやすく、選びやすい表示を目指して
部会では、食品の包装前面に栄養成分を表示する「FOPNL」の導入についても議論が行われました。
FOPNLは、消費者が食品の栄養価を簡単に理解し、健康的な食生活を選択できるよう、食品の包装前面に栄養成分に関する情報をわかりやすく表示するものです。
日本では、すでに一部の企業が自主的にFOPNLを取り入れていますが、表示方法や基準が統一されていない現状があります。
部会では、消費者がFOPNLを理解しやすく、食品の選びやすさを向上させるためには、表示方法や基準を統一する必要があるという意見が出されました。
食品ロス削減に向けた取り組み:期限表示の見直しと無償譲渡の課題
食品ロス削減に向けた取り組みとして、消費期限・賞味期限の表示の見直しや、食品寄附の際の表示に関する議論も活発に行われました。
食品ロスの発生要因の一つに、消費者が賞味期限を過ぎた食品を廃棄してしまうことが挙げられます。そこで、食品の期限表示の見直しによって、まだ食べられる食品を無駄なく消費できるよう、消費者の意識改革を促すことが重要となります。
さらに、食品寄附の際に、食品表示法に基づいた適切な表示がされていない食品が流通してしまう問題も指摘されました。食品寄附を促進するためには、食品表示法の解釈や運用に関する明確なガイドラインが必要となります。
食品ロス削減に向けた取り組みは、消費者の意識改革、事業者の取り組み、行政による適切なガイドラインの整備など、多角的な視点からの検討が不可欠です。
今後の展望
食品表示部会では、今後も、デジタルツール活用、栄養成分表示の見直し、食品ロス削減など、様々な課題について議論を続け、消費者の健康と食生活の質の向上を目指していく予定です。