アレクシオンファーマがAIを活用した心アミロイドーシスの早期診断を支援
アレクシオンファーマが、心アミロイドーシスに特化した早期診断支援のためのコンソーシアムを支援することを発表しました。これには、AI技術を活かし、患者さんの診断を迅速に行うための産学協働が含まれています。本コンソーシアムは、「Integrated ATTR-CM Partnership on AI Cardiac Technology(IMPACT)」という名称で、熊本大学大学院生命科学研究部の辻田賢一教授が代表理事を務めます。
心アミロイドーシスとその課題
心アミロイドーシスは、トランスサイレチン(TTR)というタンパク質の異常収納によって引き起こされ、心筋症を引き起こす進行性の病気です。初期症状が他の心疾患と類似しているため、診断が遅れる「診断ラグ」が大きな課題となっており、患者の多くが適切な診断に至るまでに数年を要することがあります。これが進行性かつ致死的なこの病の早期治療の機会を奪ってしまっています。推定で国内に5万人以上の未診断患者が存在するとされています。
コンソーシアムの目的と取り組み
IMPACTコンソーシアムでは、AI技術を駆使して診断ラグを解消し、早期診断を可能にするための環境整備を事業として進めます。3つのワーキンググループ(WG)が設けられ、それぞれに異なる焦点を持ちます。
1.
心エコーAI実装WG:AIを活用したエコー診断の実装に向けて、運用体制を構築する。
2.
認知度向上WG:医療現場や学会への認知・理解を促進し、教育・啓発活動を行う。
3.
診断フローエビデンス創出WG:臨床現場での診断精度向上を目指したエビデンス創出を進める。
これらの取り組みにより、AIを用いた診断支援ツールの実装を広範囲に実現し、より多くの患者に早期診断の機会を提供することを目指します。
医療現場におけるAI技術の必要性
近年、AI技術の進展により診断支援が大きく進展しましたが、日本ではその普及はまだ十分ではありません。例えば、プロダクトとしての医療機器に対する経済的インセンティブが不足している現状や、診断ツールの精度向上が示されていない問題が挙げられます。コンソーシアムは、これらの課題を乗り越えるためのフレームワークとして機能します。
未来への展望
アレクシオンファーマの濱村美砂子社長は、早期診断の実現へ向けたコンソーシアムの意義を強調しています。多様な関連主体が連携し、患者中心の視点から診断精度の向上に取り組むことが重要です。心アミロイドーシスの問題を社会全体の課題と捉え、数万人規模の未診断患者に迅速な支援が届く未来を共に実現することを目指します。
このコンソーシアムは、心アミロイドーシスの早期診断を実現し、進行前の段階で患者を支える道を切り開く重要なステップとなることでしょう。