燻製唐辛子で織りなす、未来の農業と食卓の物語
東京都新宿区に拠点を置く合同会社Spiceful Co.が、新たなプロジェクトを発表しました。彼らは、インド北東部に位置するマニプール州で生産される「燻製唐辛子」を日本に初めて紹介するためのクラウドファンディングを開始します。このプロジェクトの主導者は、現地の伝統農法を守りつつ、気候変動や紛争の困難に立ち向かう「ヒルワイルド」農業組合のゼイノリン・アンカン氏です。彼女は、農業だけでなく、その背後にあるストーリーをも日本の消費者に届けたいと願っています。
燻香と唐辛子の旨味が生む異次元の味覚
燻製唐辛子が持つ独特のスモーキーな香りは、食欲を刺激し、一口食べるごとに私たちを魅了します。このスパイスは数十万年前から続く「調理に火を使う」能力と、私たちの DNA に刻まれた記憶を呼び起こします。特に、マニプール州に住むナガ族が手がける燻製唐辛子は、竹編みのラックに並べて薪でじっくり24時間燻製されたとあって、その香りは絶品です。フルーティーでナッツのような豊かな香りと、かすかに感じるスモーキーさが絶妙に融合し、料理に深みと余韻を提供します。これにより、燻製唐辛子はまるで魔法のようなスパイスとして、私たちの食卓を彩ります。
農業と気候変動に立ち向かう
彼女の考えは単なるスパイスの提供にとどまりません。ゼイノリン氏は、故郷マニプールで育ち、教育のために一度は地域を離れたものの、故郷に戻った理由として、気候変動による農業の悪化と貧困の実態を目の当たりにしたことを挙げています。彼女は「再生型農業」を復興するための組合「ヒルワイルド」を設立し、地域の農家たちと手を携えて肉体的及び精神的な支援を行っています。しかし、2023年に発生した紛争により州都インパールが封鎖され、市場の拡大が困難になるという新たな試練にも直面しています。このクラウドファンディングは、そうした困難に対抗し、「農家と世界を結ぶ架け橋」を作る第一歩と位置付けられています。
多彩なリターンが魅力
このクラウドファンディングでは、さまざまな魅力的なリターンが用意されています。燻製された唐辛子だけでなく、人気のインド料理店やフードクリエイターによるレシピ、ナガ族の伝統布バッグ、さらにはゼイノリンによる料理教室も開催されます。プロジェクトが目指すのは、単なるスパイスの取引ではありません。「持続可能で美味しい」を実現するために、生産者との良好な関係を築き、スパイスの新たな流通の形を確立することです。
クラウドファンディングの詳細
実施期間は2025年6月19日(木)から7月21日(月・祝)までで、目標金額は100万円。資金は輸入費用やゼイノリンの来日費用、プロモーション費用などに充てられます。詳細は公式サイトでご確認ください。
代表の思い
Spiceful Co.の代表・樋口実沙は、「スパイスが持つ本当の価値を日本の消費者に届けたい」という願いを持っています。彼女は、スパイス流通の複雑さや生産者の物語が損なわれることなく、質の高いスパイスを探し出し、地域を変革する生産者から購入する流通の仕組みを構築していくことを目指しています。プロジェクトが成功すれば、より多くのプレミアムスパイスを日本に広めることができるでしょう。
未来へつなぐスパイスの可能性
Spiceful Co.は「あなたが選ぶスパイスから、より素敵な未来を創る」を理念に、持続可能なスパイスの流通を目指しています。彼らはインドをはじめとする世界各国の生産者とのネットワークを構築し、その中で見つけた素晴らしいスパイスを日本の消費者へ届けるために日々奮闘しています。
ウェブサイトやSNSを通じて、自身の活動を知り、支援してみてはいかがでしょうか。未来の食卓が、より豊かで味わい深いものになることを期待しています。