PROJECT COMPが目指す透明な給与市場
エンジニア専門の給与データベース「PROJECT COMP」が、プレシリーズAラウンドで2億円を調達した。同社は「給与市場の透明化」を通じて人材流動性を高めることを目的としている。現代では過剰な情報に囲まれているにもかかわらず、給与については依然として情報が乏しく、多くの人が自社の待遇や転職の際に受けたオファーの妥当性を検証することに苦労している。
日本全体の転職率が2.5%前後と、他国と比較して低い水準であるため、雇用市場が固定化され、給与の上昇が難しい現状が続いている。この固定化は、個人や企業にとっての多くの機会損失を引き起こしていると言われる。しかし、スタートアップ業界やIT業界では、キャリア構築のために転職が一般的になりつつあるため、雇用の流動化も見られる。
PROJECT COMPのサービス内容
PROJECT COMPは、エンジニアに特化した給与データサービスを提供しており、他では得られないリアルな年収情報が閲覧可能である。有名企業のデータも含まれており、特に上場企業におけるエンジニアの年収情報は貴重だ。サービスの大きな特徴は、実際の給与データに基づいて集約されている点だ。
また、時系列で継続的に給与情報を収集する仕組みが整備されており、給与改定の際にもデータが蓄積されていく。これにより、昇給率の相場や同世代の年収位置をパーセンタイルで可視化し、明確な比較が可能となっている。さらに、平均年収だけでなく中央値や分散値も確認できるなど、詳細な統計データが得られる。
資金調達の意義
今回の調達は、給与データベースのさらなる成長を促し、蓄積したデータを利用して企業向けの評価制度設計や評価査定支援の新しいSaaSサービスを開発・提供するために行われた。特に、スタートアップ業界をファーストターゲットとし、アーリー期からの人事評価制度の導入が進む中で、新規サービスが求められている。
経営者の負担軽減の観点からも、これにより企業が事業に集中できる環境の構築が期待されている。さらに、田川啓介代表は、以前から中央集権的な給与情報の民主化を目指し、数千のデータを集めて「PROJECT COMP」を設立。
代表の思い
田川氏は、「給与相場の透明化」に取り組んでおり、自身の経験からも人々が持つ情報の非対称性が問題であると認識している。従来では、少数の情報しか持たないメンバーが多く、キャリアプランを立てる際に不利な状況が続いていた。彼は、PROJECT COMPを通じて、人々が適正な報酬を得られる社会の実現を目指しております。
投資家の期待
投資家からは、「PROJECT COMPが給与透明化を通じて日本企業の国際競争力を引き上げる可能性がある」との期待が寄せられている。田川氏の情熱と行動力が、より良いキャリア市場を生み出すきっかけとなることが期待されている。今後のPROJECT COMPから目が離せない。
会社概要
- - 社名: 株式会社PROJECT COMP(PROJECT COMP Co., Ltd)
- - 代表者取締役: 田川啓介
- - 事業内容: エンジニア向け給与データベースサービスの運営及び評価支援サービス(SaaS)の開発・運営
- - 設立: 2020年7月28日
- - 本社: 東京都渋谷区円山町28-1 渋谷道玄坂スカイビル11F
- - 企業URL: PROJECT COMP公式サイト
- - 問い合わせ: [email protected]