子育て家庭の生活苦を解消するための食品支援プロジェクトの現状
認定NPO法人セカンドハーベスト京都が実施した「こども支援プロジェクト」は、就学援助を受ける子育て世帯に無料の食品を提供する取り組みです。今年度で7年目を迎え、冬休みに向けた生活実態調査の結果も公表されました。この調査は、生活困窮を抱える家庭の実情を浮き彫りにする重要なデータを提供しています。
調査概要
調査は2024年12月21日から2025年1月15日にかけて行われ、京都府内の1000世帯が対象となりました。158件の回答を通じて、現実の生活状況が明らかになりました。
世帯属性
調査結果によると、回答者の中で母子世帯が90件と最も多く、次いで二人親世帯が65件、父子世帯はわずか3件でした。このように、母子世帯が過半数を占め、経済的な支援が必要とされていることが浮き彫りになりました。
苦しい収入状況
調査によると、母子世帯の手取り収入が21万円以上であるのはわずか25%で、残りの85%は20万円以下となっています。年々収入の向上を期待する声がある一方、増加したと感じる家庭はわずか21%でした。これはコロナ禍の影響が依然として残っていることを示唆しており、物価の上昇に対して生活の余裕が削がれていることが分かります。
生活の工夫と困難
多くの家庭が節約を余儀なくされている中で、約9割の回答者が「節約に取り組んでいる」と答えています。お風呂や洗い物の回数を減らしたり、冷暖房を使わなかったりする家庭は少なくありません。食事についても、お米の代わりに麺類を選ぶなど、経済的な制約から工夫を凝らしていました。特に、子どもに我慢をさせたくないという思いから、自身の食費を削る保護者の姿が多く見られました。
栄養の確保と体験の格差
しかし、全体の40%の家庭は栄養を考慮した食事を提供できていないと回答しています。育ち盛りの子どもたちにとって、この栄養不足は大きな問題です。さらに、習い事や体験活動を行っていない家庭も約2割あり、その理由は経済的な困難に起因しています。
調査では「余裕がない」との声が頻繁に見られ、経済的な問題に加え、時間的・体力的な余裕もない親の姿が浮かび上がりました。これにより、子どもたちの学びの機会が制限され、将来の発達に影響を及ぼす懸念があると報告されています。
支援制度の充実が求められる
また、困窮世帯が簡単にアクセスできる支援制度は不足しており、情報を自分で取りに行く必要があるとの意見もありました。それは食料支援についての満足度にも影響を与えています。今後、こうした制度の充実が求められ、経済的な余裕が生まれ、子どもたちにもっと多くの経験の機会を提供できるようになることが期待されます。
認定NPO法人セカンドハーベスト京都は、1,200件の子育て家庭への支援食品提供を2025年度にも目指しています。今後も支援活動が広がり、少しでも困窮家庭の助けになることを願います。市民からの感謝の声が寄せられており、支援の重要性は改めて確認されています。行政による公開支援の拡大も期待され、貧困の連鎖を断ち切るための一歩を踏み出すことが求められています。