転職を左右する夏のボーナス
近年、労働市場は大きな変化を迎えており、特に転職を考える正社員にとって、ボーナス支給は重要な要因となっています。株式会社マイナビが実施した「2025年 夏ボーナスと転職に関する調査」では、20-50代の正社員に対する意識調査が行われ、その結果が注目を集めています。
調査結果の概要
調査の結果、現在転職を考えている正社員のうち約58.3%が「今年の夏のボーナスをもらってから転職する予定」と回答しました。この傾向は特に20代の正社員に顕著で、66.4%がこのように述べています。ボーナス支給のタイミングは、企業にとっては従業員の離職リスクが高まる時期と言えるでしょう。
興味深いことに、51.5%の正社員は「ボーナス額が高ければ転職を思いとどまるかもしれない」と意見を寄せ、実際に賞与が想定より高かったために転職を中止した経験を持つ人は33.3%に達しました。これは、賞与金額が転職に影響を与える重要な要因であることを示しています。
賞与額と転職の関係
さらなる分析では、転職経験がある正社員の約69.1%が「賞与が少ないこと」を転職の理由に挙げています。この結果は、特に20代において顕著で、46.0%が賞与の少なさを「一番大きな転職理由」としています。全体的な平均では、賞与の影響を受けた転職理由の金額は38.2万円でした。
前年の夏の賞与額は平均59.6万円であり、自分が理想とする賞与額は平均98.2万円とのこと。これは、実際の賞与と理想のボーナスとの間に38.6万円のギャップが存在していることを示しています。年齢が上がるにつれて理想の賞与額も上昇する傾向があり、特に30代や50代でその差額が最も大きいことが観察されました。
転職先の選定における賞与の重要性
調査結果によれば、約68.6%が転職先を選ぶ際に賞与金額を重要視しており、特に20代でその傾向が顕著です。しかし、実際には73.0%が賞与について質問しづらいと感じており、情報の重要性と受け取れないジレンマが存在しています。古い慣習が影響しているのかもしれません。
最も多い期待値としては、転職先に求める最低の賞与水準は通常基本給の約2カ月分であるとし、その考えは全体的に共通したもののようです。
調査の背景と今後の展望
厚生労働省のデータによれば、実質賃金が3年連続でマイナスであり、それに伴い生活費の高騰が賃金の向上を妨げている状況です。今後のボーナス支給に関しては、理想と現実のギャップが改めて問題視されることになるでしょう。捉えにくい経済環境の中、特に20代の正社員にとってボーナスが転職意向に大きな影響を与えることが伺えます。
企業側は、このような状況を踏まえ、社員だけでなく転職希望者にもボーナスに関する透明性のある情報提供を行うことが求められています。求職者がボーナス情報を簡単に確認できる環境作りが、将来的な人材確保の戦略となるかもしれません。
調査は、2025年5月1日から5月7日にかけて行われ、対象は全国の20-50代正社員で1,366件の有効回答が集まりました。この結果は、現代の労働市場におけるボーナスの役割と転職意欲の関連性を理解する上で非常に貴重なデータとなります。