日本ゼオン株式会社が、植物由来およびその他のエタノールを利用して、ブタジエンを高効率に生成するためのベンチ設備の建設を始めたことが発表されました。この新しい設備は、山口県周南市の徳山工場に設置され、2026年の稼働を予定しています。このブタジエンは、ポリブタジエンゴム(ブタジエンゴム)に加工され、社会実装に向けた研究が加速されます。
2025年7月10日に行われた起工式には、山口県及び周南市の関係者、工事関係者、ゼオンの代表取締役会長、工場長などが出席し、工事の安全を祈願しました。この取り組みは、2030年代に植物由来の材料からブタジエンやイソプレンを高効率で生成する技術を実現することを目指しています。
ゼオンは、このベンチ設備で生成されたブタジエンを用いてポリブタジエンゴムを試作します。一方、横浜ゴム(代表取締役会長兼CEO:山石昌孝)は、このブタジエンゴムを使用して新たなタイヤの試作を行い、走行テストを通じてデータを収集し、商業化に向けた大規模な実証を進めます。
このプロジェクトは進行中であり、2030年までにパイロット設備を利用した技術の確立を図る計画です。そして、最終的な事業化を2034年を目指して進める見通しです。
なお、この取り組みは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けています。NEDOは国内での技術革新を促進するための重要な機関であり、このプロジェクトを通じて持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。
ゼオンは、ブタジエンやイソプレンの生成における効率性を追求し、環境負荷を低減する新技術の開発を推進しています。これにより、持続可能な素材の供給が可能となり、将来的には自動車産業におけるエコタイヤの普及に影響を与えるでしょう。さらに、植物由来の資源を利用することで、化石燃料依存からの脱却が進むことも期待されています。
このような取り組みは、ゼオンだけでなく、横浜ゴムなどの他社とも連携しながら進められており、企業間の協力によって新しい技術が生まれる可能性があります。持続可能性を重視した製品開発は、今後のビジネス環境においても重要な要素となることが予想されます。
社会全体の意識が高まる中で、持続可能な技術への関心は日々増しています。このような施設の建設は、次世代の材料生産のあり方を示す一歩となるでしょう。ゼオンはこのプロジェクトを通じて、より一層の技術革新を追求し、環境に優しい製品の開発を進めていく考えです。