欧州のオープンソース活用の現状と未来を探る
本日、LF ResearchとLF Europe、さらにCanonicalが共同で発表した調査レポート「欧州の戦略的優位性としてのオープンソース」の日本語版がリリースされました。このレポートは、オープンソースソフトウェア(OSS)がどのように欧州におけるデジタルエコシステムの中で重要な役割を果たしているかを詳述しています。
背景とImportance
ヨーロッパのオープンソースエコシステムは、現在、重要な移行期にあります。OSSの採用が広がる一方で、企業や組織の成熟度にはかなりのばらつきが見られます。驚くべきことに、多くの企業が明確な戦略立案やOSPO(オープンソースプログラムオフィス)の設置なしにOSSを導入しているのが現状です。これによって、経営層におけるOSSの戦略的重要性の認識が遅れています。
4年目を迎えた「2025 Europe Spotlight」レポートは、OSSの現状を調査し、コミュニティにとっての新たな機会を探求しています。この研究は、欧州におけるOSSの持つ先進的な役割をさらに明らかにすることを目的としています。
投資と報告
OSSは多くの利点をもたらしますが、特に生産性向上やベンダーロックインの緩和がその代表です。しかし、多くの企業がOSSプロジェクトへの直接的な投資を行っていないという現実もあります。それにもかかわらず、投資を行っている企業は大きなリターンを報告しており、未開拓の可能性が見えてきています。OSSに対する理解と支援が進むことで、企業全体の競争力が向上することが期待されています。
政府の取り組み
最近では、政府や産業界もOSSの重要性を理解し始めています。ドイツの「Sovereign Tech Agency」やEUの「Cyber Resilience Act」などの施策が、OSSをデジタル主権や協働、イノベーションを促進するための手段として位置付けるようになっています。これらの取り組みは、OSSに対する優先順位を再度構築することに繋がります。
今後の展望
今後、ヨーロッパは、巨大なテック企業による独占的な状況に対抗するため、OSSの構築に力を入ていきます。また、オープンソースAIの拡充やデジタル公共財への投資にも重点が置かれます。こうした流れは、エコシステムが受動的な消費から能動的な参画へとシフトし、長期的な持続可能性の確保へと向かうことを示唆しています。
著者であるCailean Osborne博士とAdrienn Lawsonは、このレポートが欧州の企業やコミュニティにとって意味ある洞察を提供することを願っています。序文はCanonicalのCédric Gégout氏が担当し、レポートは日本語版が天満尚二氏によって翻訳されました。
全レポートの詳細は、
こちらからご覧いただけます。