探索と生還の象徴、山野井妙子
2025年11月18日、アルパインクライマー山野井妙子さんの半生に焦点を当てたノンフィクション『凪の人 山野井妙子』が刊行されます。本書は、過酷な試練を乗り越え、今は静岡県伊豆の地で穏やかな日々を送る彼女の姿を描写した作品です。
山野井妙子さんは、女性として初めて冬季にグランド・ジョラス北壁を登攀した日本を代表するクライマーです。1984年には、彼女と山野井泰史さんのペアによるチョ・オユー南西壁の成功は、8000メートル峰における女性ペアによる唯一の記録となりました。しかし、彼女の登山人生は栄光だけではありません。1991年、彼女はヒマラヤのマカルーで仲間を失い、自らも重度の凍傷に苦しむ莉体験をしました。また、2002年に夫の泰史さんと挑んだギャチュン・カン北壁では、命がけの脱出を強いられるという極限の体験をしました。
しかし彼女は、こんなにも過酷な体験を経てもなお、内面的な穏やかさを抱えています。現在、山野井さんは静岡県伊豆市の川奈で泰史さんと共に、自給自足の暮らしを送り、肥沃な土地を耕したり、釣りを楽しんだりと地に足をつけた生活を送っています。
この本の魅力は、山野井さんの強さの根源に迫ることです。彼女は、これまで多くを語ることがなかった自らの少女時代の原風景、山への情熱、危機的な状況での生還の経験、そして現在の「凪」と呼ばれる穏やかな生活へ至る道のりを詳細に語っています。
また、目次は以下の章で構成されています。
- - プロローグ(2024年):現在の伊豆・川奈での穏やかな日々
- - 第一章「原風景」(1956-1978年):少女時代の活動と山との出会い
- - 第二章「飛躍」(1979-1982年):グランド・ジョラス北壁の冬季登攀
- - 第三章「生還」(1982-1991年):仲間の死、凍傷、泰史との出会い
- - 第四章「充実感」(1992-1994年):新生活とチョ・オユー南西壁の成功
- - 第五章「山の旅」(1995-2001年):世界各地へのクライミング挑戦
- - 第六章「脱出」(2002-2018年):極限からの生還と伊豆への移住
- - エピローグ(2023-2025年):手術を経て山に復帰
本書の著者は、フリーライターの柏澄子さんです。彼女は数々の山岳関連書籍を手がけており、その専門性を生かして山野井さんの物語を描いています。
『凪の人 山野井妙子』は、山野井さんにとっての試練や喜びが交差する人生の真実であり、読者に生きる力を与えてくれることでしょう。これまでの登山人生や彼女の全てを知りたい方には、特におすすめの一冊です。